[コメント] トイ・ストーリー3(2010/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
過去のシリーズも全て見てきている者にとって、やはりこの人間の変化にグッとくるものがありますね。
今回のテーマも「友情」ということになるんだとは思うんですが、それはそれで表層的な面であって、実は「変化」についてシニカルに過激な批判をしているようにも受けてとれます。
まず、シリーズ最初の作品は、人間が実物大でほとんど出てきませんよね。特に大人。おもちゃの目線から、子供を下から見る映像が印象的でした。人の足元でうごめくおもちゃの世界を大変丁寧に描いていた。そこにバズがやってきて、空中を体感するんでしたよね。だからその飛躍感が面白かったんだと思うんです。
そして2では、子供が少し大人に近づきます。だから目線が広がる。大人もフルサイズで出てきました。アドベンチャー色が強い映画だったので、あまり気づきませんが、大人(人間)の世界とおもちゃの世界が並行している感覚だったと記憶しています。
そして本作。
これはもう明らかに大人目線ですね。アンディもすっかり大きくなって、おもちゃの世界からするとその目線がどんどん遠くなってゆきますね。だから、そんな大人になったアンディが最後に子供目線に戻るラストが感動的なんでしょうね。
私は今の年齢(40代後半)からして、母親が空になったアンディの部屋に入ってきて思わず涙ぐむシーンから、ずっと涙が止まらない状態でした。親の気持ちとどうしてもシンクロしていしまいますね。
その親からすると、子供のおもちゃなどはゴミと一緒です。
でもやっぱり子供にとっては宝物。
大人になると、そこにあるおもちゃの必然性がどんどん離れてゆくものなんですね。
ある本に、子供と大人の時間について書いてありました。
大人はどんなものも珍しく感じないので、見たものをそのまま実態として瞬間に把握できますが、子供にとってはどんなものも珍しいものなので、その実態を把握するためにたくさんの時間を必要とするんだそうです。
だから大人の時間は早く過ぎるけど、子供の時間は長く感じてします。
言われてみれば、子供の頃「もっとはやく時間が過ぎて大人になりたい。」と思ったものですよね。(大人になると逆の感覚が生まれますね)
そんな大人と子供の離れてゆく記憶と時間を、忘れそうになったおもちゃがカバーしてくれている。そんな役回りを明示しているように思いました。
変化人間と変化しないおもちゃの関係とは、時間の要素が大きいように思いました。
2011/07/24 Tjoy大泉
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