コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ゴーストライター(2011/仏=独=英)

ゴーストはゴーストでしかない。ロマン・ポランスキーのアメリカに対する挑戦状。(2012/2/6)
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何ものにも囚われない。

これがロマン・ポランスキーの真骨頂ですね。

たいがいの作家は過去の自らの手法に忠実です。しかも輝かしい功績のある大作家なら尚更ですね。

彼の作品で大好きなのは『チャイナタウン』です。

マイベスト。

この映画の元首相夫人は、あの『チャイナタウン』のモーレイ(フェイ・ダナウェイ)が重なります。あのサスペンス映画の魅力は、1930年代を復活させ、その時代に漂う複雑な人間関係を大画面に見事に写し出したこと。

あの映画が作られたのが1974年。そして今、35年経って新たな展開が待っていた。

フランティック』という映画も印象的だった。やはりサスペンス。

テス』や『戦場のピアニスト』も見事だったけど、やはりロマン・ポランスキーにはサスペンスが似合いますね。

同じサスペンスでも、彼は何ものにも囚われない。

映像が何しろ素晴らしい。

画面の構成が奥深く、落ち着いている。緊迫した内容をさらに追い込むように閉鎖性を覚える。

見え隠れするのはテロ。そして組織的な政治犯罪。

それがCIAの仕掛けた罠で、なんとCIAの謀略で、イギリスの首相が作られたとは。しかも夫人を使って。(これ明らかにトニー・ブレアを意識しています。)

ロマン・ポランスキーはアメリカを追われた身ですね。シャロン・テート事件の後、幼女強姦の容疑者として、アメリカを追われ、入国すれば逮捕される立場ですね。

そんな彼が、晩年に差し掛かってアメリカに対する露骨な挑戦を仕掛けてきたんですね。

最後のシーンはいかにも象徴的。

アメリカの謀略で主人公が殺されたのか偶然なのか、全く語られずに終わります。

これが精一杯の彼の挑戦だったのでしょうか?

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)KEI[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。