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[コメント] 幕末太陽傳(1957/日)

今村昌平の映画なのではないか?
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







品川の周辺が小さな宿場町で赤線と呼ばれる地域であることは知っていましたが、現代の品川を見てしまうと、その面影はなりを潜め、この映画の冒頭で描かれているような風景はいまやどこにも見当たりません。

そんあ風景の変化からさらに遡る江戸末期の陽気な世界を川島雄三監督は見事に表現していますね。

セットの重厚さや、豪華な俳優陣などを見れば、この映画が当時としてはかなり予算をかけて力を入れた映画であるかということがよくわかりますね。

この映画が伝説として語られるとき、どうしても幻のラストシーンのことが言われますね。

幻のラストとは、本作のラストから一気に現代(当時の)に飛躍して、飛脚ながらの主人公(フランキー堺)が走り去るというものだったらしいのですが、現場のスタッフやキャスト、そして主役のフランキー堺にまで反対されて、このラストは実現しなかったそうです。(ウィキペディアより)

この手法、実は今村昌平監督の『人間蒸発』のラストで生かされています。

そうです、この映画の助監督を今村昌平さんがやっていますね。(脚本にも参加されています。)

そう思うと、この映画は川島雄三監督のものでありながら、映画全体の語り口は今村昌平さんを意識させるものだと思います。

今村昌平作品は、ある意味で向き合わないと辛い作品が多いのですが、この映画は喜劇です。今村昌平作品の喜劇的な面は、この映画でいえば小沢昭一さんの役柄で示されます。

それでも目をそらしたくなる人間の醜い部分を正面から捉えるという姿勢は、この作品からも伝わります。

先ごろ発売された”キネマ旬報”の歴代ベストテンで上位にランキングされていたので、あらためて見てみることにしたんですね。

今年亡くなった南田洋子さんがとてもきれいで、目をひきました。

若々しくておかしくて、落語の要素を織り込んだすばらしい作品だったと思います。

2009/12/30(自宅)

(評価:★4)

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