[コメント] ピアノ・レッスン(1993/豪=ニュージーランド=仏)
こんな昼ドラみたいな内容を芸術の領域にまで押し上げる技を持っている人は多くない。(少なくともアメリカ人にはいないだろう)
この風景にまず感動する。この緑の島、海、そして風だね、風。風が吹くでしょ。これがいいですね。風がスクリーンを横切りますよ。素敵だなあ。こういう映画はなかなかないよね。
しかし話の筋は見事に卑猥で下劣で情けない貧しいものなんですね。なのになぜ我々はこれに涙するのでしょうか?ピアノ、風、音楽(旋律)、そういう全てのものが画面から迫ってくるんですね。だから男の欲望、女の欲望、男の悲哀(高倉建的なね)、これらが画面から飛び出して、人の心の奥深くになるものを呼び起こして、この悲劇に臨場感を持たせるんですね。
子役もスゴイです。ピアノレッスンの意味を思う。この子供のなせる大人(客観的な)の感覚、そして大人の子供じみた情けない現実と欲望ですね。子供は大人が思う以上に常識的で客観的な存在ですね。観客はこの子供に肩入れしてしまいますね。
反して親とか大人は情けない存在です。耐えることと欲望とのバランスを失っていますね。
何度も言いますが、この風景に極上の愛を感じます。今まで口に入れたことのないような料理を目の前に出されたような気分です。
ごちそうさまでした。(と手をあわせます)
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