[コメント] ファイト・クラブ(1999/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
監督デビューの『エイリアン3』と次作の『セブン』は、見ていましたが、その後の作品はまばらにしか見ていません。
『パニックルーム』はあまり面白くなかったし、『ベンジャミンバトン』はそれなりでしたが、どうもフィンチャーらしさが感じられない。
こうして彼の略歴を冷静に観察すると、どうも原点は『セブン』にあるような気がします。
映像はフィンチャータッチですね。これは彼独特の世界。ミクロからマクロへ、そしてその両極端をものすごいスピードで映像が追いかけますね。このスピード感。エイリアン3からずっと見せる暗い黄色いイメージフィルターの中をどんどんカメラが追いかける。この技術とイメージはフィンチャー独自のものでしょうね。ヨーロッパ映画のテーストが感じられます。
この映画の主人公はブラッド・ピットですが、この人物がまさか最後に自分の分身だったというのは大変ショッキングですね。『ゲーム』にも重なる不思議さでした。
「二重人格」ものの映画はこれまでもたくさん作られていますが、そのきっかけとなる「ファイトクラブ」という発想が実に新しいですね。
争いそのものに意味がなくて、お互いがとことん戦いあうことだけが日常のストレスからの解放である、という発想が面白い。
そしてこの映画で見せるのがバブル崩壊の予想ですね。リーマンショックはこの映画のずっと後に起こっていますが、物質社会、消費社会に対する懸念はすでにこのころから示されていた。アメリカにも良心を持つ人がいたということに驚きを感じました。
作られた年は1999年ですが、このちょうど10年後にアメリカ経済が打撃を受けることを予想できたのでしょうか。
とても予知的な意味でも素晴らしい作品でした。
フィンチャー映画の最高峰だと思います。
2010/05/02 自宅
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