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[コメント] 欲望のあいまいな対象(1977/仏=スペイン)

死ぬまで変態か!?
chokobo

このラスト、このラストシーンに何を思うでしょう。あれだけ翻弄された老人がこの小娘、貧しい貧しい小娘、小間使いですよね、この娘と仲むつまじく寄り添う姿。これはこの映画のいったい何を意味するのか。あれだけこの娘を罵り愚弄した老人が最後の最後でこの寄り添い方はいったい何なのでしょうか。映画館で見終わって席を立とうとした瞬間にわかりますね。「あっ!」そういう意味なのか。『欲望のあいまいな対象』ですね。欲望、この場合愛情という欲望ですね。しかも身分の異なるいかがわしい小娘に対する愛情と欲望、それらが全て”あいまい”であることの表れですね。ブニュエルは客観的な作家です。その彼がこれほど主人公に思い入れをして独白させる。この情景に観客は見事にだまされた。彼は最初からこの”あいまい”な欲望と愛情を映像にしたかったんですね。スゴイです。見事だなあと思います。

痴人の愛』であり『マノン』であり、少し異なりますが『ベニスに死す』であり、このそれぞれの愛情は欲望ですね。愛情は最も”あいまい”な感情ですが欲望はもっと露骨ですね。男にとって女がほしいという欲望。これほどわかりやすいものはありません。

老人が小娘を自分のものにしようとするシーンが象徴的ですね。欲しい、欲しい、でも手に入らない。これが欲望です。男の立場と女の立場で感覚が異なるかもしれませんね。女性の意見も伺いたいものですね。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)太陽と戦慄

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