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[コメント] ブリキの太鼓(1979/独=仏=ポーランド=ユーゴスラビア)

最初の出産シーンから何となく胸騒ぎがしていました。
chokobo

自分自身子供を持つ親の身となって、より子供でありたい。子供の頃の自分を投影し、子供であることをそこで止めておきたい、そう思うことがある。そう思う大人、親は多いのではないか。

この映画は基本に子供の視線、という点を確立しているというだけで、お話としては田舎の町の風景を描いているだけだ。戦争、その影で庶民の性愛、その大人の世界を垣間見て自分を子供のままとどまらせるオスカル。この時代を超越した表現に、自分の子供の頃を投影しない者はあるまい。

確かに、ここまで大人の卑猥な世界を幼い頃に見てしまうと、潜在意識としても問題が生ずるのだろうが、子供の目を子供として見ている大人の感覚がこの映画では奇妙に表現されていて面白い。

これは時代を表現した映画だ。だから主人公が必ずしも子供である必要などないのだが、同じ目線で長い間大人、そして時代を目撃することで、おなじ大人の些末な運命とその繰り返しを冷淡に描写しているということだろう。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)Cadetsファン改めジンガリーLove[*]

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