ネタバレ的に申しますと、キネ旬のベストテンが発表となるこの季節が一番忙しいのです。本作においても先日発表となった外国映画ベストテンの第二位。然るに見事な演出、見事な芸術とも言える出来栄えでした。

　この映画の画面で頻繁に横切る光の三原色、赤のカーテン青い空黄色い壁など印象派ともいえる監督の力量と中国大陸を思わせる色彩が見事に生かされています。

　また、時折使われるストップモーションともスローモーションとも言える重要なシーンが時代を超越した映像表現としてインパクトが強く、４０年前の時代背景を忘れさせます。

　そして何と言っても斬新なストーリー。これは新しいですよね。まあ別に内容などはどうでも良いほど色彩まみれの芸術作品として堪能できるのですが、４０年前の香港でこういう社会生活とか習慣が伺い知れるというのがまたいい。

　マギー・チャンてもっと若いのかと思っていたら、こういう年齢の女性も演じられるんですね。素晴らしい演技でした。

　とにもかくにもウォン・カーウァイの貪欲な芸術性に圧倒された２時間でございました。