腐れ縁の見本のような関係だ。誰かがやるから抜けられない。ユアン・マクレガーは「裏切る」と表現していたけど「抜け出す」といった方が良いね。「あいつは友達だから仕方ない」なんて台詞が出てきたけどイギリスでもそういう考え方するんだなぁ。日本的思考だと思ったけど。納豆みたいにいつまでも付き合ってるのが不思議だった。

　こんなイカレ映画でも面白い場面や台詞がある。トイレにもぐって座薬を取りに行く幻覚シーン。静脈にキメて救急車で病院に運ばれるまでのシークエンス。絨毯が沈んでいって上を見上げる所なんか怖かった。スプーンで茶色の粉を溶かす場面がリアルだったなぁ。「ビタミンＣが違法ならやってた」なんてのは中島らもが小説で書きそうな台詞で感心した。

　『ＳＰＥＥＤ』という本があるでしょう。石丸元章の書いた覚せい剤の体験記。あれは映画化できると思うよ。活字版『トレインスポッティング』みたいな本だ。幻覚が克明に記録してあって「胸からオシッコが出てきてゲラゲラ笑う」みたいな箇所が印象に残ってるなぁ。覚せい剤で捕まった人に刑務所で見せてやると更正に役立つかも知れない。