町田さんのコメント: 更新順
ある朝スウプは(2004/日) | 究極の悲劇は喜劇に転形する、というが、本作品、特に廣末哲万の演技と佇まいは、そこから更に一歩、抜きん抜けている。全く笑えない、笑う気のしない、愛の不毛の物語だ。「こんな風じゃ無かった過去」に一切目を向けない、逃げ込んでしまわない、作者の姿勢に、峻厳な真摯さを感じた。 | [投票] | |
金環蝕(1975/日) | まさに山本組同窓会。退屈はしないが、どれもどこかで見たようなシーンばかりである。 [review] | [投票(1)] | |
美しい夏キリシマ(2003/日) | 燦爛とここかしこ、陽の光漏れ落ちたれど、わが青春は押しなべて、晦闇の嵐なりけり −ボードレール [review] | [投票(3)] | |
疑惑(1982/日) | 自棄ぱちの桃井と極妻への接近を始めた岩下の女傑対決、大御所五十鈴の啖呵は、邦画ファンには垂涎の見物だったが、それを受け止める男優の演技、特に検事役の小林稔侍が余りにもショボ過ぎた。渡瀬か室田くらいぶつけて来ても、充分跳ね返し得ただろう。カメラ、音楽も含め、映画が演技に負けている。(しかし、抜群に面白い!) | [投票(1)] | |
鬼畜(1977/日) | 子供の眼、能登の夕陽、全てを見透かすような美しさに見据えられて、男はただ、泣き崩れる。エキセントリックさの中に宿る、繊細な感情、心の機微を、取りこぼすこと無く救い上げる野村芳太郎の手腕に、今更ながら恐れ入る。徐々に登りつめ、一気に下降する、東京タワーのシーンは圧巻! [review] | [投票(8)] | |
U・ボート(1981/独) | 横ばかり見ていた。 [review] | [投票(4)] | |
いつか読書する日(2004/日) | 筆を折るとき [review] | [投票(7)] | |
TOMORROW 明日(1988/日) | 画面上で展開する戦時下の平均的悲喜のこもごもと、画面の外に充満する(つまり私達の)やり場の無い怒りや無力感を、対比させようという試みならば、黒田アーサーと米軍俘虜に纏わる件は、明らかに筋を違えた蛇足である。 [review] | [投票(1)] | |
マッスル・モンク(2003/香港) | 役者に筋肉の着ぐるみ着せて演技させるなんてことを、思いついただけでなく、大スター相手に実行してしまうところが末怖ろしい。ジョニー・トー。深作亡き後のアジア娯楽アクションはアンタの双肩に掛かっている。それにしても [review] | [投票(3)] | |
ライフ・イズ・ミラクル(2004/ユーゴスラビア=仏) | 鉄道敷設に沸く山村を舞台にしたお得意の集団劇から、戦時下の家族ドラマ、個の恋愛ドラマへと収斂してゆく物語構成は、単に面白いというばかりでなく、作家エミール・クストリッツァの今後を占う上でも大変興味深い。 [review] | [投票] | |
ヴェラ・ドレイク(2004/英=仏=ニュージーランド) | この圧倒的な赦しを前にして、私は幾らかの戸惑いを感じた。未だ青臭い私はカタルシスを求めていたのである。私は私の狭量さに恥じ入った。 [review] | [投票(1)] | |
暗戦 デッド・エンド(1999/香港) | ハリウッド映画と比較してその優位性を論じることに大した意味を見出せない。トーが目指すべきは、そんな柔な地平では無いハズだ。ラウの動機の明確さや署長を駆使した喜劇性に作家としての迷いを感じる。そんなものは突き崩して欲しい。ラム・シューの居るシーンのみがただ美しい。 | [投票] | |
ザ・ミッション 非情の掟(2000/香港) | 昔の東映時代劇に『忍者狩り』というのが在って、この映画の設定はそれに似ている。そのことと、サブタイトルから推して、さぞや非情な結末が待ち受けるのだろうと期待したが、どうも肩透かしを喰ってしまったようだ。それでもここに描かれる男たちが魅力的であることに変わりはない。黒服に身を固めた彼らの立ち居振る舞いや善し。 | [投票] | |
エンドレス・ワルツ(1995/日) | 爆発的な感情の噴出と、そのあとに来る物憂い静謐の対照が素晴らしい。足の指に絡むシーンは絶後の臨場感。町田町蔵も抜群だが、性から死へと推移する広田玲央名の表情が見逃せない。周遊し、ジャンプし、暗がりを冷然と見つめる、佐光朗のカメラも絶品。 | [投票] | |
運命じゃない人(2004/日) | まず抜群に面白いこと。次にフレーミング。レストランでの群像ショットの絵画的なこと。それから音使い。台詞に割って入られる音楽の馬鹿臭さ。脚本構成への拘りなんてのはそれらがあったればこそ(でなけりゃ只の伊坂幸太郎もどきだ)。変に落ち着いちまった三十路前後の青年よ、コレ見て前言撤回し、第二の青春を全速前進せよ! | [投票(4)] | |
めし(1951/日) | 上原がお土産踏み潰すシーンで爆笑してしまったし、浦辺粂子や大泉晃らのほのぼのした感じは嫌いではないが、姪・里子(島崎雪子)の描写や就職難のシーンは、後の成瀬映画と比べるとちょっと遣り過ぎ。 | [投票] | |
鰯雲(1958/日) | ニュープリントで鑑賞。色彩が感じさせる四季と年月の移ろい。しかしながらこれはもう断然中村鴈治郎を見て愉しむ映画である。彼に注がれる家族の眼差しをなぞって鑑賞する映画だ。複雑な人物関係を把握するのに時間を要するのと、ライティングが過渡期的であることを除けば、他は問題が無い。 [review] | [投票(2)] | |
妻の心(1956/日) | 通りで偶然合流した夫婦の、見上げたであろう同じ空を、私も確かに見たような、そんな気にさせてくれる逸品。金絡みの息苦しい話だが、暗くなり過ぎないところがいい。 | [投票] | |
女が階段を上る時(1960/日) | 状況説明や結果報告に終始して、心理の深部を抉ろうとしない菊島隆三の脚本が薄っぺらくてつまらない。川島に撮らせた『花影』同様、失敗作と思う。タイトルや、タイトルバックばかり着飾っても、こんな中身じゃお里が知れるぜ。 [review] | [投票(1)] | |
驟雨(1956/日) | 駅から居間まで。息苦しいほどにリアルな劇空間を構築しているのは、台詞よりもむしろ、人物たちの視線の動きである。(中古智の美術セットも勿論素晴らしい。佐野周治が会社商品の空き箱を自宅の軒先で用立てている生々しさ!) | [投票] |