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[コメント] 一票のラブレター(2001/伊=イラン)

何かが空から降ってきたり、何かを携えて各地を巡ったり、という発想はマフマルバフ的、というよりイスラム的と云った方が良いいのかな。監督兼脚本家で仄かな恋ごころの描出は見事だが、訪問地毎の「不条理な滑稽さ」は踏み込み不足。もっと笑わせて欲しかった。
町田

他のイラン映画に比べ登場人物に個性や魅力がないし、面白くなりそうな会話にも饒舌さが足りないのから、ロングショット+長廻しの多用という映画芸術的試みが、なんだかとてもイイワケじみて見えてくる。

俺はゲージツ映画は嫌いじゃないが、社会的でゲージツ的な映画は余り好きになれない。応援出来ない。胡散臭ささを感じる。フランス人向けに作られたベトナム貧乏映画を観たときの印象と同じだ。

黒沢や山本薩夫や熊井啓やケン・ローチやアキ・カウリスマキやマフマルバフ師匠の作品を引き合いに出すまでもなく、優れた社会派映画というのは通俗的であることの方が多い。ディランの歌にしても清張の小説にしても爆笑問題のコントにしても、その手触り耳障りはすこぶるいいのである。

そしてこの監督兼脚本家もそれを充分過ぎるほど理解していた。解かっていて抜け出せなかった。どの訪問地のシーンも思ったほど面白くならなかった。自身にユーモアのセンスが欠如しているが為に。それが痛い。それが悲しい。それが憐れだ。

(評価:★3)

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