[コメント] モーターサイクル・ダイアリーズ(2004/米=独=英=アルゼンチン)
弱者を救済するのも、また弱者。
自身へのストイックさと、他人への寛容さ。それを兼備・維持するだけでも難しいのに、エルネストには天性の「弱さ」まで備わっていた。一人じゃどうにもならない絶対的な「弱さ」=喘息。そしてその「弱さ」を言い訳としない、動機・契機としうる芯の「強さ」が、エルネストをエルネスト足らしめているのだと感じた。
真の強者になりうるのは弱者の他になく、弱者を真に救済できるのもまた、弱者を知る弱者以外にありえない。
鑑賞前のイメージと違った、真摯さと人情味溢れる物語、その語り口に意表を突かれた。何気なく置き捨てられた手袋の描写・・・。派手な軋轢やドラマチックな葛藤などどこにも見当たらない。
だからこそ、モノクロの擬似静止画像は総て余計。ポーズも酷く不自然で映っている人も苦痛そうだった。この監督の持つ妙な堅苦しさは、いつも、せっかく得られた感動を半減させてしまう。
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