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[コメント] 仁義の墓場(1975/日)

新宿の野良犬は言いました。「僕の仁義を知りませんか。行方不明になりました。」
町田

石川力夫は戦後の焼跡に産み落とされるべく産み落とされた任侠精神の畸形児であった。死を恐れて這い回る一匹の野良犬であった。そんな彼の人生がいったい幸せだったのだろうか不幸だったのか。俺は全く判らない、判らないがしかし。

「大笑い 三十年の ばかさわぎ」

墓は笑っている、腹の底から。

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『仁義なき戦い』が「線」として捉えた「仁義の崩壊」を、一つの巨大な「点」として捉え直した作品。昭和二十一年から二十五年に跨る巨大なこの「点」は、戦前と戦後を明確に区分する働きをも持っている。

『人斬り与太 狂犬三兄弟』以来三年振りに東京に戻って来た深作の演出は随分と若やいで見える。京都作品に於けるピリピリした閉塞感も嫌いじゃないが、こういうエネルギッシュな開放感もやっぱり捨て難い。モノクロやセピアカラーを使ったフォトジェニックなパートの挿入、ペキンパばりのスローモーションも効果を発揮している。前者に於いては芹明香、後者に於いては「風船」の使い方が絶妙であった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ねこすけ[*] Myurakz[*] すやすや[*] sawa:38[*] ぽんしゅう[*]

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