[コメント] 日本のいちばん長い日(1967/日)
気の遠くなるほどに長く、緊迫した暑い夏の一日。それを強烈に喚起させる過剰なまでのライティング。明と暗のハイ・コントラスト。出演者と一緒に汗だくに成って観られるべき、観続けられるべき映画。
三船の阿南陸相も勿論悪くないが、鈴木首相を演じた笠智衆の存在感が郡を抜いている。特に三船の延期要求を退ける場面、無言の切り替えしで見せる眼力は、普段の好々爺演技からは想像も出来ない凄みがあった。
青年将校を演じた若手俳優の中では中谷一郎の放つ緊張感、暴発性が好ましかった。黒沢年男は幾らなんでも遣り過ぎだろう。
この映画は庶民を描かないという点で最も岡本喜八監督らしくない作品とも云えるが、中丸忠雄、佐藤允、高橋悦史、天本英世などの使われ方は、これが紛れも無い喜八映画だということを思い出させてくれる。
伊藤雄之助は役としては重要ではないが、やはり存在感は強く、『帝都物語』などへの影響も感じさせる。加山雄三や小泉博は少し気の毒だった。
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