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[コメント] 秋津温泉(1962/日)

映画と映画ファンには中身ばかりでなく「見た目」も大事だ。小汚い格好をして腕組みして哄笑してけつかる自称映画マニアなぞ死んだ方がよいとさえ思っている。喜重先生は、自身の結構渋目の風貌に反して、ときどき無茶をなされる。
町田

告白的女優論』の有馬稲子の女学生服にもマイッタけれど、この映画の前半部分にも相当ゲンナリさせられた。思春期を演ずるには遥かトウのたった岡田(『浮雲』から七年も経っている!)と長門の制服ロマンスを、そのまま馬鹿正直に見せられても、それはコントにしか見えぬのです。夫婦漫才にしか見えぬのです。若々しさとは、演技演出ではけっして補えない、素材そのものの放つ輝きです。老いを演じることは出来ても、少年少女の初々しさを再現することなぞはけっしてけっして出来ぬのです。

よしんば出来たとしても、それは舞台に於いてのことでしょう。(それは多分、演者と観客が時間を共有する空間芸術だからです。)

そうです。私は、この映画から、時間の流れを感じることが、殆ど出来なかったのです。その豊かさも、残酷さも、登場人物たちと共有することが、殆ど出来なかった。

だから私は、映画には「見た目」も大事と思わざるを得ないのです。

(評価:★3)

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