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[コメント] 誓いの休暇(1959/露)

迫り来るものの躍動感、遠ざかるものの哀切が、自在なカメラにより捉え尽くされた「ビルディングロマンス」「ロードムービー」「母もの」そして「青春映画」の、信じ難いほどの傑作で、私もこう唸らずにいられなかった、「ロシヤは広い!」
町田

若き英雄アレクセイ役ウラジミール・イワショフと、お下げ髪の美処女シュール役のジャンナ・プロポレンコ 、二人を眺めていることの幸福感、眺めている「だけ」で得られる至福、これこそが役者の資質、青春映画の醍醐味なのである。じっさい、いきなり人が寝ている車両に乗り込んで来て、話も聞かず「マーーーー!マーーーー!」と叫びまくられた日にゃ、人目惚れするなって方が無理である。

映像はどれも美しく、道や線路を捉えたパンフォーカスショットには映画的詩情が満ち満ちていたが、中でも印象的だったのは、占有の妻に石鹸を届けに行く件、上階に延びる階段の踊り場に佇む子供の、下降するシャボン玉である。そのシャボン玉が、期待と失望、その時々の感情によって全く別の光を反射することの描写たるや、絶絶妙妙でありました。

音楽の推し引きも巧く、ラスト、母と抱き合うシーンでの静謐は、母亡き私の胸を締め付けるにも過分だった。それを妨げる時間の圧迫。クラクション。余りも切ない。

語り部の回想から始まる構成の、観客の感情に及ぼす効果も絶大で、正に隅から隅まで、正真正銘の「映画」である。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] セント[*]

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