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[コメント] 蝶の舌(1999/スペイン)

戦争は、お馬鹿な子にも、お利巧な子にも、平等に痛く悲しい。
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







戦争は、イタリアのお馬鹿な子にも、スペインのお利巧な子にも、平等に痛く悲しいだよね。

はっきりいってこの映画に特別な思い入れがあるわけでもないし、配給会社の商売っ気に辟易しているのだけど、なんとなく擁護。

僕も初見時は「あの犬は?」「顕微鏡はどうなった?」とか「そんなにすぐに楽器巧くなんねーよ」とか思った口なんですが、あの手のひら返しのラストの意味を考えるうちに、これは戦争映画というよりは一人の少年の成長を淡々と書き綴った絵日記みたいな作品なんだって思うようになりました。しかもあの少年、自分にかなり似ている。

最初、教室でお漏らししてしまう程内気だった少年は「友情」に出会い幾らか逞しくなります。そして彼は老教師から「自由」と「知ることの喜び」を学び、偶然覗き見た「性」への関心を抱きます。格好良く楽器を演奏する兄から「情熱」を学びとった彼は演奏旅行へ、そこで見た兄と中国少女に影響されたのか、淡い「恋」にまで目覚めてしまいます。すっかり成長した彼が次に出会ったのは「死」でした。唯一愛した黒犬の死に嘆き悲しむ孤独な少女。愛するものとの永遠の別れ。そして終にスペイン内乱が起こります。次々と連行される顔見知りの無神論者、共和派党員達。家族を失う恐怖の余りヒステリーを起こす母親に、犬を殺された少女の悲しみを見たのでしょうか、少年は本能的に叫びます、こともあろうに恩師に向かって。「裏切り者の背信者」。「アカ」と。(イカン、思い出してる内に泣けてきた)…泣き虫だった少年は一歩一歩確実に大人への階段を上ってゆくのでした。(完)

主人公の少年を始め全ての登場人物の主観を一切排除し、第三者的視点からありのままをスケッチ、それらを羅列しただけという世にもぶっきらぼうな構成が、「感情移入の余地が無い」「物語性が欠如している」「下手糞」などの批判の対象になるのかもしれませんが、個人的にはやたら葛藤する主人公に少々飽き飽きしていたところだったので、こういう素っ気無さを意外性を持って好意的に迎えられました。

追記;s&mさん >こういう体験もCinemaScapeあってこそなんですよね。だからやめられん! 全くその通りですね!たくさんのコメンテイターの方々が新しい発見を共有しあえるというのはホント実りあることだと思います。『ブッチャー・ボーイ』との比較も面白いですね。極端な反例として。 あとペペロンチーノさんのコメントにあるようなヒーリング映画とか言われているのは僕は全然知りませなんだ。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』もそういわれていたらしいですが配給会社は何を考えているんだか。

さらに追記12001.0/25:s&m〔消音装置〕さん、ペペロンチーノさん >いろいろとありがとうございました。今度もまた心行くまで語りあいたいものですね。是非よろしくお願いいたします。(追伸:掲示板とかやっぱ苦手でした、僕。ご迷惑おかけしました。)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (15 人)リア らーふる当番[*] まゆ ミュージカラー★梨音令嬢[*] あき♪[*] 水那岐[*] RED DANCER[*] ぱーこ[*] G31[*] ぽんた[*] いぐあな tredair[*] ina muffler&silencer[消音装置][*] ペペロンチーノ[*]

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