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[コメント] プロスペローの本(1991/英=仏)

書物の力によって自分の周囲に箱庭のように...
はるきち

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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書物の力によって自分の周囲に箱庭のように美しい世界を作り上げ、その世界の王として君臨している魔術師プロスペローが、外の世界に復讐を果たし、そして他者との和解を果たすまでの物語。この映画、数多くの登場人物が出てくるのだけど、途中まではその声がすべてプロスペローの声なのですね。全員が魔術師の操り人形なわけ。しかし、プロスペローが「他者」との和解を果たした瞬間から、それぞれの声で語り始める。結末でプロスペローはついに他者の住む世界へと足を踏み出すのだけど、魔力を失いただの老人となったプロスペローが、本を次々に海に投げ込む姿は痛々しくて、本好きなら涙なしでは観られないはず。そしてプロスペローに使役されていたエアリアルが、ついに自由になって画面そのものの「外」へと飛び去ろうとするラストの美しさときたらもう。活字中毒者に強力にお勧めする映画。

(評価:★5)

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