ラスト、エンドロールにはいってそう思った人も多いはず。何も解決せず、最後の解答を観客一人一人に委ねるのは安易のような気もした。

しかしセルビア、ボスニアだけではなく、世界中で民族、宗教などによる紛争は後を絶たない。日ごろ平和ボケした日本でそんなことを考えもしない私にとっては、この最後観客になげかけられた問題提起は非常に考えさせられるものがあった。

だから、この映画はこれでいいのだ。何も解決されず、ただ無策に戦争を続ける当事者とそれをただ傍観する他の国。それがなんかおかしいんじゃないかと見た者に思わせる事が出来たら、この映画の勝ちなのだと思う。

しかもただのドキュメンタリー仕立てであくびを誘うような内容ではなく、ところどころにユーモアを盛り込み、ドラマ仕立てにした事でしっかりしたエンターテイ メントにもなっている。

映画にはこんなにも力があるのだと感じた一本です。