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[コメント] アキレスと亀(2008/日)

「三部作最終章」と唱いつつも監督の迷いがそこかしこに見られる。なんか、あっちこっちに首振りながら創作しているような感じが・・・。
ゆーこ and One thing

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







出生時が恵まれているので厳しく見えるが所詮ファンタジー。現実はもっとハードだと思います。

登場する人がトータルで考えた時にみんないい人なんですよね。

例えば大杉漣演じる鬼の義理父にしても、奥さんの言い分を聞いて学校に行かせてくれます。

新聞配達店の主人と印刷工場の社長(あの仕事振りでは首になっても文句は言えまい)。

奥さん(「狂ってる!」と言い放って離れていったが、最後は真知寿の元に戻ってくる)。

娘(どうしようもない父親と対面し、あまつさえ売春で稼いだ金を渡す。しかも2万円!)。

画廊と喫茶店の絵にしても、大衆の目に触れる場所に作品が掲げられているなんてすごいことです。

最後は至上の価値観である「芸術」をひたすら続けながら自殺同然の行為をしても生き残る。これ真知寿にとって一番ハッピーな人生だと思います。

北野流芸術(=お笑い)論を披露してみたり(鼻から垂れてキャンバスに落ちて広がっていく血=自分の中から生み出されるもの。知識や計算も必要だがそれが創作の邪魔になることもあり、模倣を導くこともある。観客ありきで先鋭的すぎてもいけない)。

少年期青年期と中年期の真知寿のキャラクターが明らかに違うのも謎です。少年期と青年期は口数が少なくナイーブで静的。芸術活動は自己完結していたのに、中年期に入ると非常にアクティブになり、他人を巻き込んだ芸術活動を始めます。

(評価:★3)

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