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[コメント] アラバマ物語(1962/米)

何よりも脚本が素晴らしいし、子供達の視点で作品が構成されていることに本当に感心しました。
ゆーこ and One thing

 「自分と異質なものに対する差別感」、「親と子供の関係とはどうあるべきか?」、「陪審制の矛盾」、「ひどく理不尽なものへの寛容な心」、「正義を貫きとおすことの困難」。

 一見しただけでもこの作品の中にはこれだけの題材が取り込まれています。どれかひとつの主題だけ取り上げても、2時間の作品が構成できる題材の面々。

 2つくらいの主題を詰め込んでも、呼吸困難を起こしてふうふうと息切れを起こしかけている作品が多い中、これだけの主題を作品に詰め込みながら、どの題材も書き足りない部分もなく、また書き込み過剰な部分もなく、それらを明確に裁いていく脚本が本当に素晴らしいです。

 それと皆様もかかれていますけど、次の世代を背負っていく子供達の視点から物語が構成されているところにもすごく感心します。

 作家の山本文緒さんの言葉ですけど、「子供は大人が構成した社会の空気を吸い、大人が用意した食べ物を食べ、社会で生活する大人の姿を見ながら成長する」。

 いわば「子供は大人の姿を写す鏡」なわけです。

 あれだけ立派なお父さんが見本であれば、ティムとスカウトはきっといい大人、そして素晴らしい親になってくれますよね。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] ジェリー[*] sawa:38[*]

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