あれだけの本を映画にするのだから、きっと、本当はずいぶん長い映画だったんでしょうね。苦心して短くした跡があちこちで見られました。丁寧に作ってあるのに、シロウトが編集したビデオみたいにツギハギに見えてしまいました。長い映画が苦手なワタシですが､こんなにツギハギにするくらいなら、もうすこし長くして流れを大切にしてほしかったです。

　『ラストエンペラー』でもそう思いましたが、どうして地元の言葉でしゃべらせないのでしょうか？イタリアの地元の刑事なのに、アメリカ英語が流暢で、しかもイタリア訛りがぜんぜんないなんて、考えられない！もう、がっかりです。

　でも、ムーアはものすごいプレッシャーのなかで、よくこれだけがんばったと思います。前作のスターリングをうまく自分のなかにとりこんでいるし、そのうえでオリジナルなスターリング像も作り出している。前のスターリングが強烈だっただけに、ひきつぐ方は大変だったと思う。よかったです。