[コメント] 悪い奴ほどよく眠る(1960/日)
高木彬光を髣髴とさせるような冒頭の結婚式から話は終始怪談の様相を身にまといつつ展開していく。悪への怒りと善の無力さへの苛立ちが、その絶妙なユーモア感覚と溶け合い、一級の娯楽作品に仕上がったが、同時に、遣り切れない怒りをどこに向ければよいのか、分からなかった。だが、
黒沢の主張が、「勧善懲悪なんて幻想だ。でも、怒りを覚えたら怒れ、そして行動せよ、結果がどうであれ。その無念は残されたものが引き継いでくれるだろう」
ということであるのならば、この遣り切れなさをわれわれ観客が担うのは必然なのかもしれないな、と思った。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (4 人) | [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。