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[コメント] キャリー(1976/米)

キャリーがくる!!
モモ★ラッチ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







上記は藤子不二雄A氏作「魔太郎がくる!!」からのパクリだが、自分にとって、幼い頃に読んでトラウマになったコミックでもあった。

最近その「魔太郎が来る」を読み返す機会があって読んでみたのだが、その当時の衝撃は全く感じなかった。それは、自分が年を重ねることによってより以上の過激なものに触れ、感覚が麻痺してきたことの表れだろう。

漫画の世界は、分かりやすくするために、悪いものはとことん悪い。しかし実生活ではこうは行かない。母親には母親なりの正義があり、同級生たちも軽い遊び以上のこととは思ってはいない。あくまで本気なのはキャリーだけである。本気だから言いたいことは一杯ある。でもそれを聞いてくれるもののいない辛さは一人ぼっちであると言う感覚によって徐々に高められる。そこで手を差し伸べてくれることの喜びは、そういう経験をしないとなかなか分からないものである。いや、本当は人間には想像力と言うものがあるはずなのだが。

話を映画に戻します。

キャリー役のシシー・スペイセクが女魔太郎と言う感じでぴったりのキャスティングなのだが、あまりというかほとんど悲惨なお話と感じないのは、デパルマ的というよりもハリウッド的なものといえるだろう。日本映画で、これほどロマンティックに流れていく「いじめの話」は生まれないでしょう。

ホラー映画にはあまりにもそぐわないロマンティックな音楽などを使うことでコントラストを浮かび上がらせつつ、あのプロムでの長回し。あそこまで引っ張って引っ張って引っ張ることができるのも当時のデ・パルマだからこそ出来た芸当だろう。いい加減息苦しくなってきたところで一気に噴火。そのあとにバケツがウィリアム・カットの頭に落ちるというドリフのようなオチ。デパルマ映画(特に初期)には随所に直筆サインが見受けられる。それはあまりにも強すぎる自己主張となって表れる。だが、映画監督という芸術的な活動をする人間のとる行動としては当然のことのようにも思える。

ラストのあの手は、あの世で寂しくなったキャリーがスーを誘いに来た、とまあ何とでも解釈は出来そうだが。

(評価:★4)

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