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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★4マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016/米)与えられた仕事はこなすが向上心はない。不愛想で付き合いが悪く、バーではひとり酒に酔い、部屋でたれ流さるスポーツ中継に向ける目は虚ろ。始末の悪いことに意味不明の“怒り”を他人に向けて爆発させる。私たちはきっと、彼を得体の知れない変人だと遠ざける。 [review][投票(1)]
★4いぬむこいり(2016/日)遅れてきたアイドルに再び勃起するシニア左翼の夢精物語が発火点となって、戦場を駆ける中年カップルの面倒くさい青春冒険譚が燃え上がる。沖縄やエルサレムを想起する近親憎悪的対立に、決着を着けるのは異種混合が産み落とす無私無欲の純愛暴力であるという暴論。 [review][投票(1)]
★5ハッピーアワー(2015/日)ふたつのイベントの様子が、主人公たちが日常から少しだけ離脱する“儀式”として、たっぷりと時間をかけて描かれる。延々と続くその“儀式”は、いつの間にか観客のリアルな日常も浸食し始める。架空の日常と現実の日常がスクリーンを媒介にシンクロするスリル。 [review][投票(1)]
★4人生タクシー(2015/イラン)ドキュメンタリー風に作りながら、とうていそうは見えないところが、映画製作を禁じられたパナヒの確信犯的作為。社会と個人の狭間(物語の普遍的なテーマ)に存在する、タクシーという移動(映画的ダイナミズム)する閉鎖空間(疑似シアター)に着目した発想の勝利。 [review][投票]
★3台北ストーリー(1985/台湾)重厚な彫刻を施された石造りのレトロな建物が並ぶ廸化街の街並み。疾走するバイクの背後に浮かぶ燃えるような紅い電飾を施された大門。外資のネオンサインの前でシルエットと化す迷子のような男女。都市の風景が醸す時代の記憶は人工的なぶん、いつだって刹那的だ。 [review][投票]
★4スウィート17モンスター(2016/米)否定されるべき人物が一人も出てこない。といって、安易さやあざとさもない。嫌味なく、嫌味な少女を好演するヘイリー・スタインフェルドの自然体が、自然体でいることの難しさと大切さを素直に納得させてくれる。彼女は、嘆きはするが、決して泣かないのだ。 [review][投票(2)]
★4水の声を聞く(2014/日)信仰はともかく、何か「すがるもの」がなければ安定できない者たちを前に、「すがられる側」もまた、その根拠となる「すがるもの」を模索する。悟った気がした島のルーツは荷が重く、頭でっかちの巫女になろうとした凡人は儀式(イベント)というカタチにすがる。 [review][投票]
★3夜空はいつでも最高密度の青色だ(2017/日)心の不安を埋めようと思わず吐いた言葉が虚しく霧散する。「生」の実感としての身体(ストレッチ、空手、腰痛、首の傷痕)は、肉体の手ごたえを素通りして安易に死のイメージへ直結してしまう。そんな、今の若者たちの姿が浮き彫りにされる序盤はとてもスリリング。 [review][投票]
★4タレンタイム〜優しい歌(2009/マレーシア)相手に甘えない、相手を疎みもしない。4人の高校生たちの立居振舞に、つつましさが漂っている。この映画が醸し出す独特の“優しい関係性”は、ここに起因しているような気がする。これがマレーシアのリアルな高校生の関係なのだろうか。それとも演出だろうか。 [review][投票(2)]
★3午後8時の訪問者(2016/ベルギー=仏)ひたすら真摯な女医さんの「悔悟」をめぐる市井の冒険は、いつしか人の心の隙間に入り込む。見えてきたのは罪の意識などない虚勢、欲望、嫉妬が生み出す他者への思いやりの欠如。ドアを閉ざすことの呵責に欧州が抱える難民問題を重ねるのはうがち過ぎだろうか。[投票(1)]
★4北陸代理戦争(1976/日)集団抗争劇ではなく個人闘争劇。拡散ではなく定着。奉仕ではなく生活。ひいては国家より国民。これは『仁義なき闘い』の主題の対極にある「組織」対「個人」観。ゆらゆらと体を前後に揺する川田(松方弘樹)のクセが、この男の秘めたる凶暴性を象徴して秀逸。 [review][投票(2)]
★3暴動島根刑務所(1975/日)空腹に端を発した懲役野郎どもの、蜂起、ゲバルトが活動方針を巡って内部崩壊へという常道をたどるのは、インテリ革命組織と同じ構図だが、最後は個人の自由へ帰結するところがミソ。松方弘樹の豪胆、北大路欣也の純真にからむ女優さんに華がないのが残念。[投票]
★4ムーンライト(2016/米)シャロン役に3人の俳優を配したことで悲しみの深さがより印象に残る。成長と共に容姿は変わっても、心の傷は日ごとに深さを増し“おびえ”となって目に宿り続けるさまが痛々しい。彼が背を向けたとき、視線から解放された私を、安堵と同時に後ろめたさが襲う。 [review][投票(5)]
★5バンコクナイツ(2016/日=仏=タイ)金銭に救いの意思を託すしか術が思いつかない“良性上から目線男”の優しさなど意に介さす、地に足つけた夜のキャリアウーマンは“たるみきった果実”をせっせと搾り続ける。この恋愛ごっこに悪意は微塵もない。もはや歴史に根ざした草の根“日泰”経済援助活動。 [review][投票(4)]
★5実録 私設銀座警察(1973/日)冒頭の渡瀬恒彦のド級の逸話がこの敗戦後わずか数年の出来事の運命をすべて規定する。マッチの炎が一瞬闇を照らすように、娑婆に放たれた欲と生が炸裂し乱痴気へ。その狂騒は刹那のようであり、20世紀末まで続いた気もする。登場人物のキャラの描き分けも的確。[投票(1)]
★3山口組三代目(1973/日)偉人の伝記みたいな導入部から、実録風のやんちゃ話を経て、任侠の虚飾で締める八方美人的胡散臭さ。しかたない、現役実在の組長の名を借りる商魂たくましき東映の、大胆とはいえ、どだい安易でスジの悪い企画。組長以下、関係者及び、そのご家族向け慰安映画の態。[投票]
★4わたしは、ダニエル・ブレイク(2016/英=仏=ベルギー)19世紀に始まった資本家と労働者という左右の対立軸は、イデオロギー闘争の終焉とともに希薄化され、21世紀の今、合理性というとりあえずの正論のもと、国家と市民という上下の合意軸を模索して、波間の喫水線のように揺れ動く。血のかよった政策や制度って・・ [review][投票(3)]
★2サラエヴォの銃声(2016/仏=ボスニア)サスペンスを醸し出すはずの逸話の集合体が発酵せず、現代の欧州がはらんだ葛藤や不穏さが立ち上がらないので映画的な面白みがない。装置としての“ホテル”のカタチが見えない(原作が戯曲だから?)からだと思う。足りないのは長くて短い100年という時間の気配。[投票(1)]
★4クーリンチェ少年殺人事件(1991/台湾)自らの意思に反し夜間学校の闇に吹き溜まった少年たちに、祖国を追われ海峡を渡った大人たちの影が映る。が、その影は、ぴったり重なるわけではない。先が見えないとき大人は過去にすがるが、未来がすべての少年たちは無意識に、そして強引に前へ進もうとする。 [review][投票(3)]
★5脱出(1972/日)60年代の騒乱が沸点に達し、煮詰まった情念が一触即発の様相を呈した70年代初頭。そんな時代の気分が炸裂する傑作。そして逃避願望が無条件の海外礼賛に昇華した混血青年(ピート・マック・Jr)を慕う、蓮っ葉な不良娘(フラワー・メグ)の健気が切ない青春物語。 [review][投票]