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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★4立ち去った女(2016/フィリピン)3時間48分を費やして物語りながら饒舌すぎず、ひたすら凝視し続けて寡黙すぎない不思議な語り口。99.9%の固定ショットの客観を、突如切り裂く0.01%の手持ちショットの主観の衝撃と破壊力。それは贖罪が復讐を凌駕した瞬間であり、新たな罪が生れた瞬間でもある。 [review][投票(2)]
★3ブレードランナー 2049(2017/米=英=カナダ)SFとしの驚きがない。前作のスタイルばかり意識して金縛りにあったように守勢にまわり、チャレンジ精神をなくした物語は予想どおりに進む。当然、謎解きやサスペンスの緊張感は薄れ、記憶、闘争、生命、愛どれをとっても中途半端で主題として実を結ばず散漫な印象。[投票(1)]
★4死の棘(1990/日)理性的にみせかけながら感情を吐き出すことで関係性を挑発する妻。感情の断片をつなぎ合わせて理性的な関係性を繕おうとする夫。言葉の意味を見失った文士夫婦の「つながり」の壮絶と滑稽が松坂慶子の“重さ”と岸部一徳の“無さ”の間に充満している。[投票(1)]
★2蘇える金狼(1979/日)主人公朝倉の人となりがまったく描かれないので、彼が権謀術数を巡らせようが、銃をぶっ放そうが、女をはぐらかそうが、共感も羨望も嫉妬も非難も湧かない。暴言を承知で言えば平凡な会社員役に松田優作を起用した時点で原作の「お話し」はすでに崩壊している。[投票]
★2男はつらいよ 噂の寅次郎(1978/日)いきなりの「今昔物語」の死生観はシリアスで、寅のギャグのフィルターを通したところで喜劇の枠では消化しきれず、せっかくの泉ピン子も逸話にからまず「ブスの価値」が活かしきれていないのは逆に彼女に失礼。大原麗子は可憐なだけのお飾りに甘んじる。[投票(1)]
★3彼女がその名を知らない鳥たち(2017/日)原作(未読です)のせいだとは思うが、ここまで大仕掛けを施して語るほどの内容ではないでしょう。こんな馬鹿いる分けないと言ってしまえば元も子もないので“私って孤独!”なお手軽愛情至上主義女子のための無いものねだりファンタジー、として割りきりました。 [review][投票(1)]
★4あゝ、荒野 前篇(2017/日)わざとらしさを寸止めで回避する菅田将暉ヤン・イクチュンの好演が、新次と建二、さらに堀口(ユースケ・サンタマリア)を含めたパターン化を嫌味なく定着させ物語の定型枠として気持ちよく機能する。そこにからむミステリ仕立ての挿話も効果的。 [review][投票]
★3あゝ、荒野 後編(2017/日)祭りの後の世相の閉塞と混乱。血縁(母の影。あゝ、寺山!)のしがらみと愛憎。闘争と同化の象徴としてのボクシング。この大、中、小のファクターがはらむ熱量が、リングの死闘を軸に一気に激突する終盤が映画の肝なはずなのに、それぞれの描写のバランスが悪い。 [review][投票(1)]
★3エルネスト(2017/日=キューバ)ひたすら熱い青春映画。ゲバラは純情な医学生(オダギリジョー)に問われて答える。恨みではなく怒りをエネルギーにして闘っていると。一瞬、正論に聞こえるが恨みと怒りは相対ではなく、グラデーションで連なる曖昧な感情。50年の歳月に学生戦士の大義が宙に浮く。[投票]
★3アウトレイジ 最終章(2017/日)「大友さんの総決算祭り」或は「眠った爺は起こすな」の巻。悪趣味バイオレンスと義理人情を秤に掛けて、若造も中間管理職も一切無視の『龍三と七人の子分たち』裏バージョン。いまだ消えない北野武の消滅願望と、図らずもの塩見三省の復活無常のリアル対比が感動的。[投票(1)]
★4ドリーム(2016/米)人生や社会経験で染みついた偏見は習慣化することで“悪気ない”というベールをまとう。最先端の合理的科学集団NASAですらこの体たらくよ、とタラジ・P・ヘンソンのメガネ越しの困惑まなこ顔が、自称「偏見なんかない人」の偏見をあぶり出すエンタメ快作。 [review][投票(1)]
★5わたしたち(2015/韓国)仲間はずれにされた少女は、不安な顔を“する”のではなく不安な顔に“なる”。“する”より“なる”の方が切ない。彼女は、何が原因で、何故こんなこんなことが起きているのか分からないのだから。友をとり戻そうとする話でありつつ、意志の誕生を見つめる物語。 [review][投票(1)]
★4奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール(2017/日)希子ちゃんの“いまどき娘”のエロスの記号化が素晴らしく、戯画化された妻夫木君のオーバーアクトにリアルさが宿る。正直に言えば男にとって恋と発情の境界は実に曖昧で、止めどない欲求の悶々に理性が浸食されパニクルという経験は、野郎なら誰でもあるはずです。 [review][投票(1)]
★4ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年(2015/日)どの時代のインタビューも、たとえ逆境のどん底にいて次の展開が見えないときでさえ、辰吉は今が一番面白いと言う。その語り口に悲壮感は微塵もなく明朗でクレバーだ。なのに、彼が引退しない理由だけは何故か判然としない。本当は自分にも分からないのではないか。 [review][投票]
★3大魔神逆襲(1966/日)予算削減感漂うロケ撮中心の魔人のお山越えだが、ひたすら正義と勇気を演じる少年たちの学芸会的一生懸命さから徐々に目が離せなくなる素朴さが魅力。児童向けなのに生死にまつわる出来事や描写はシビアで、大魔神の容赦なき大剣一突きも今ならPG12指定の鮮烈さ。 [投票(2)]
★3新感染 ファイナル・エクスプレス(2016/韓国)退屈はしないが、化け物も人間もあまり怖くない。さも“人格の危機”のように争点化された連結部への「隔離」は、対立する互いの不満を尊重しつつ、当面その場の混乱を回避する案として、いたって妥当な和解策だと私は思いましたが・・・何がいけないのでしょうか。 [review][投票(1)]
★2ダンケルク(2017/英=米=仏)物語を徹底的に排除して「事象」だけで逃避を活劇化するのは、ある種の映画的王道だと理解はするが、単調さを回避する保険として長・中・短の時間軸が有効に機能しておらず狂騒はアトラクション映像の域内。唐突なヒロイズムの誇示も自画自賛にみえてむなしい。[投票(6)]
★5三度目の殺人(2017/日)ピンと張りつめた温度の低い画面。それは事件の高揚の反動のようだ。“生れてこなかった方が良い人間もいる”“誰を裁くのかを、誰が決めるのか”“ここでは誰も本当のことを言わない”“あなたはただの器なのか”そんな呪詛が我々を常識のらち外へと導いていく。 [review][投票(1)]
★3エル ELLE(2016/仏)不穏な緊張の持続が心地よい。主人公をはじめ女たちは非情な扱いや、面倒な出来事にみまわれるのだが、みな冷静で決して取り乱したりしない。この徹底は、女の本性や強さといったありきたりな“状態”ではなさそうで、観終わってしばらく上手く理解できなかった。 [review][投票]
★4散歩する侵略者(2017/日)女子高生のぶっ飛んだつかみで一気に物語に引き込まれる。大げさな細工や言い訳もせずに、何の違和感もなく“違和”を日常に定着させてしまう黒沢清の技は日本映画界の誇るべき至芸。刑事の「自分」や、牧師の「愛」に関するやり取りも皮肉がきいていて可笑しい。 [review][投票(1)]