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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★4二重生活(2012/中国=仏)勝ち組の安泰に裏切られるインテリ女。強引に幸福をもぎ取る平民女。気ままに性を金に換える女子大生。札束で頬を張られ死別の悲嘆を曖昧にする老母。男が作り出した制度と矛盾と格差さに翻弄される女たちの愛憎劇に、今の中国社会が抱える病巣の縮図が透ける。[投票]
★3やさしい人(2013/仏)禿頭長髪男(ヴァンサン・マケーニュ)が、自分でも気づかぬうちに抱え込んだ鬱屈は、突然玩具を取り上げられた幼児が泣き叫ぶような無軌道さで破裂する。それは、気まま娘(ソレーヌ・リゴ)が初めて「人」を知るきっかけとしてのみ有用だったという哀切。[投票]
★4一寸法師を記述する試み(1977/日)巨大な裸女(矢口桃)を手に入れ、もてあましつつも、果敢に「所有と支配」に挑み続ける一寸法師(日野利彦)の無表情という表情が悲しくもあり滑稽でもある。その律儀な欲望の発露に、不器用な生き様と苦闘する普遍的な男が見える。[投票]
★3エリザのために(2016/ルーマニア=仏=ベルギー)匿名者による投石がエスカレートするように、「諦め」はさらなる不穏を引き寄せ破壊を加速させる。この父親もまた“娘の将来”を口実に、それが権利であるかのように不正を行使して、秩序に開いたほころびを広げていく。諦観は倫理の境界線を書き換え、連鎖する。[投票]
★53泊4日、5時の鐘(2014/日=タイ)小旅行の昂揚感のなか、何気ない会話や行動がチクチクと刺激し合う棘となって互いに苛立ち始める女たち。隠しきれない欲望が滲み出し、ついに感情が弾け飛び、本音がカタチとなって表出する。そんな生々しくも激しい心の動きが苦い笑いとともに淡々と描かれる。 [review][投票(1)]
★4アメリカン・ビューティー(1999/米)伝統的価値が破壊された混沌の70年代を生きた若者たちは、新たな価値を創出できぬまま世紀末を迎えた。旧弊の象徴である「家族」のカタチをなぞる者たちの戸惑いが、私には痛いほど分かる。後にも先にもこの系譜の映画が存在しない「孤立」こそが本作の時代的意義。[投票(2)]
★4お嬢さん(2016/韓国)日本へのおもねりが凝縮した醜悪美に彩られた奇妙な館。エセ日本人の財産を狙うニセ日本人。交わされる怪しげな日本語による偽りの恋愛劇と、朝鮮語による真の愛憎劇。そんな「偽もの」の坩堝からの飛翔は、思いの純度が高いぶん鮮やかさを増し先行きの不安を払拭する。 [review][投票(2)]
★3ラ・ラ・ランド(2016/米)カメラとダンサーの動きが複雑に交錯する高速道路の乱舞のアイディアは確かに面白い。その若者たちの熱気と出世欲のエネルギーは、パーティ―の狂騒を経て、ハリウッドの夜景に閉じ込められ、物語は一瞬にして「二人の世界」へ収斂し最後まで他人の介在を許さない。 [review][投票(4)]
★4彼らが本気で編むときは、(2017/日)女に生まれた者たちは女で“ある”ことでジェンダーの煩わしさにさらされ、女の姿を得られなかった者は過剰に女“らしく”ふるまうことで社会的な違和にさらされる。この“らしく−ある”ことの人間的生理と社会的意味との精神衛生上のバランスに正解はあるのだろうか。 [review][投票(1)]
★4ブラインド・マッサージ(2014/中国=仏)盲人たちが言葉を交わすとき、その顔と顔は触れ合わんばかりに近い。互いの本心を気配や体温で確認するかのようだ。手持ちの接近ショットで捉えられたその像は、ふいにボヤケ、ふいに焦点を結ぶ。健常者である我々は、被写体である盲人たちとの「距離」を見失う。 [review][投票(2)]
★4愚行録(2016/日)画面に温度(温もり)のようなものがあるとすれば、過去は常温で、現在は徹底した低温、いや脱温で描かれる。撮影監督ピオトル・ニエミイスキの無機な質感と大間々昂の不穏な旋律が石川慶の脱ウェットな語り口を支え、邦画の悪しき慣習の打破を試みる。 [review][投票(1)]
★4ドライブイン蒲生(2014/日)暴走する制御不能な姉(黒川芽以)の鬱屈と、その苛立ちに微妙な距離で接し慕う弟(染谷将太)の姿が、何の気負いもなく写し撮られ映画の核を支える。役者を信じ、これみよがしな技巧や主張などカメラにさせないたむらまさきの手練が力演と呼応する佳作。[投票]
★4アイガー・サンクション(1975/米)アホ女子大生、自称相棒伝言係り、日陰もやしボス、お節介黒人CA、怪しげな登山学校の能天気校長、グラマーインディアントレーナー、生意気ゲイとマッチョ用心棒、混ざらない混成アタック隊、そして、征服の象徴ポール(男根)岩と難攻の権化ウォール(北壁)岩。 [review][投票(2)]
★3ANTIPORNO アンチポルノ(2016/日)男が作り出したお仕着せの自由を使いこなせず、自由なふりを強要されるこの国の女は「自由の奴隷」って、男である園子温に無理やり言わされて、大根のような足で踏ん張りながら日本中の「女」の代表を演じ、一心不乱に頑張る富手麻妙が痛々しくて気の毒。 [review][投票]
★3ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム(2005/米=英)大衆は常に主義を唱え集団に属することで安堵する。価値観が混迷したとき、その「群れ化」は顕著に表れる。フォークなのかロックなのか、ポリティカルなのかポエティックなのかを求めずにはいられない世間。いわゆる“ボブ・ディラン”という価値の誕生物語。[投票]
★4アスファルト(2015/仏)狭く区切られた壁に閉じ込められたように暮らす人たち。自分が孤独であることすら忘れ淡々と日々をやり過ごす。幼児の泣き声。虎の叫び。悪魔の囁き。風の音にめぐらせる空想に小さな不安が滲む。そんな彼らが秘めた「人恋しさ」が顔を見せる瞬間、温もりが蘇る。[投票]
★3最前線物語(1980/米)淡々と時間が進み、淡々と戦地を巡り、淡々と死が通り過ぎる。命を奪われないために命を奪う。決して命を奪うことが目的ではないという原理が守られている点が救い。描かれるのはドラマではなく、結果、最後まで生き残った者が綴った「戦場散文詩」のようなもの。[投票(2)]
★3たかが世界の終わり(2016/カナダ=仏)わずかな変化も見逃すまいと、表情に近接したショットを畳み掛け、緊張が沸点に達する寸前に、突如、堰を切ったように吹き出す歌曲が、軽快なのに息苦しくも哀切で、交わらぬ者たちに代わって感情を吐き出しながら、動かぬ物語を「終わり」に向けて動かしていく。 [review][投票(2)]
★3ぼくのおじさん(2016/日)どんな客層を想定したのだろう。毒気のない山下映画は気の抜けたコーラのようで締まりなく甘ったるいだけ。もっとベタ職人監督さんで“おじさん”をエキセントリックにブラッシュアップして松田龍平大西利空君の“凸凹龍空コンビ”で平成の寅さん化希望。[投票]
★3こつまなんきん(1960/日)蓮っ葉な女工から妖艶な教祖へ、さらに占い師、囲われ妾、相場師、芸人、実業家の愛人と、男好きファニーフェイス瑳峨三智子の堂々たる女っぷり。逆境に微塵の悲壮感もなく、河内女の「どうにかなるやろ」的バイタリティーが痛快。何とも憎めない可愛らしさ。[投票]