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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★4リンダはチキンがたべたい!(2023/仏)秩序を嫌い終始うごめき躍動する輪郭線と、ニース時代のマティスを彷彿とさせる色の洪水。なんとも騒々しくも楽しい物語は、漆黒のなかの回想で始まり幸福そうな乳白色に包まれ終わる。この「無彩色」は亡くなったリンダのお父さんがいる彼女の心象世界なのだろ。 [review][投票(1)]
★4オッペンハイマー(2023/米)原爆の核分裂反応が引き金となって燃焼連鎖が起こり、地球の大気がすべて燃え尽き「世界」が消滅してしまう可能性。科学者にとっては「near-zero」(ほぼ無い)のはずだった現象は、政治的にはゼロどころではなく必然だった「世界」を今、私たちが生きているということ。 [review][投票(1)]
★4毒薬と老嬢(1944/米)自信に満ちた老姉妹(ジョセフィン・ハル/ジーン・アデーア)のほほ笑みは自己満足的「慈善」を皮肉り、批評家(ケイリー・グラント)のベタな狼狽ぶりは創作(演劇/映画)と現実の「悪事」のギャップを嗤う。ラストのオチも人の「関係」の欺瞞性をさらりと暴いて秀逸。[投票]
★3いんちき商売(1931/米)客船内で繰り広げられるハーポとチコのドタバタに加えてグルーチョの饒舌ネタがたっぷり楽しめる構成。悪漢たちの倦怠妻セルマ・トッドと気まぐれ娘ルース・ホールが華を添える。牛小屋の実況モノマネは元ネタを知っていればもっと楽しめたのだろう。 [投票]
★3アラスカ珍道中(1946/米)冒頭、プロデューサー役の男が登場していきなり解説をはじめ続いて平凡そうな中流家庭の老夫婦が物語の導入役。前者は楽屋オチの小ネタ、後者はエンディングの大ネタを担う仕掛け。アクションあり話術ありと多彩なギャグと定番の歌唱で時間を忘れて楽しめました。[投票]
★4マルクス二挺拳銃(1940/米)前半から中盤は兄弟定番のネタでクスクスと笑わせてくれるなか、ときおり爆弾のように炸裂するハーポのスピーディで予想を裏切るサイレント芸で大爆笑。後半の爆走機関車のスラップスティックなギャグの連発は圧巻。あと、いつもながらチコのピアノ演奏には唖然。 [review][投票]
★3キートンの大列車追跡(1926/米)キートン活劇の笑いの肝は“逃走”にあると思うのですが、タイトルどおり前半は“追跡”に費やされるのでフラストレーションが溜りぎみ。後半やっとキートンが逃げる番に。ストレスを吹き飛ばす爆笑を期待するも、なんだか機関車ばかりが目立ってギャグは不発。 [review][投票]
★412日の殺人(2022/仏=ベルギー)容疑者の男たちの泥沼に男だけで組織された捜査班が沈んでいく。沼からは男のどうしようもない傲慢さと暴力性が泡のように湧き出して「男たち」を覆いつくす。救いは新たな判事(アヌーク・グランベール)と捜査官(ムーナ・スアレム)。それは女神の降臨か。 [review][投票(1)]
★4青春ジャック 止められるか、俺たちを2(2023/日)豪放磊落ながら実は緻密な親分肌オーナー若松(井浦新)と、天然良性の優しき夢追い支配人木全(東出昌大)の“学校(スコーレ)”で学んだ映画青年(杉田雷麟)の成長譚に井上淳一が仕込んだのは自身の郷愁ではなく今どきめずらしい「父性」へのリスペクト。 [review][投票(1)]
★3ヤジと民主主義 劇場拡大版(2023/日)警備課は公安課と兄弟だから政権の権威に乗じて恣意的に「人を黙らせるやり口」はこんなものだろ。むしろそれを漫然と傍観している道警になめられた北海道のテレビメディアがなさけない。で、一番ヤバイと思ったのは取り締まりの理由が「迷惑だから」だったこと。 [review][投票(2)]
★2ビニールハウス(2022/韓国)俳優の演技に負うばかりでサスペンス演出が緩い。で、語りの技術が未熟なだけでなく認知症を安易にストーリーテリングの「道具」として使っている(ように見えてしまう)ところが不快。何かを描いているようで社会的な課題や人の尊厳に対して無頓着なのがバレバレ。 [投票]
★4瞼の転校生(2023/日)大人になって思えば、あまりに狭いけれども15歳にとってはそれがすべてだった「世界」が、ふとしたことで友の心情を知り触発し合うことで「次の世界」へとつながっていく。そんな誰にでもある経験が松藤史恩/齋藤潤/葉山さらの好演で爽やかに描かれる。 [review][投票]
★4すべての夜を思いだす(2022/日)20万人規模の人口を有しながら多摩ニュータウンの街中は人の気配が希薄だ。だがその風景の背後には50余年に渡る人の営みの機微が無形の歴史として流れている。その「時間と記憶の余白」が映画の“ゆとり”となって通底する。ほの見えるのは三人の女性の心の機微。 [review][投票]
★0【二重登録】ヴェルクマイスター・ハーモニー(2000/ハンガリー=独=仏)▼▼▼本作品は二重登録されています。コメント及び採点はこちらこちらに集約していただけますでしょうか→■http://cinema.intercritique.com/movie.cgi?mid=10484 [投票]
★4ヴェルクマイスター・ハーモニー(2000/ハンガリー=伊=独=仏)鬱屈した空気のなかヤーノシュ(ラース・ルドルフ)は、自身の拠りどころを不変の象徴としての天体法則や、生命の偉大さの体現であるクジラの巨体に漠然と見いだしているようだ。主体性の喪失は停滞と軋轢、扇動と暴走、暴力と自滅を経て振り出しにもどる。自戒の物語。 [review][投票(1)]
★3違う惑星の変な恋人(2023/日)オフビートでとりとめのない会話劇ですが、定番となった中島歩のダメ男と筧美和子の気まぐれな強気女が牽引し、莉子綱啓永がフワフワと、しかし強情にくっついていく唐突な物語展開で厭きさせない。クスクス笑わされて気づいたら映画が終わってた。[投票]
★3落下の解剖学(2023/仏)上昇志向が強く自己実現のためなら家族(制度)は二の次だが、息子への愛情はないわけではなく、母親としてとるべき距離をとれない後ろめたさを、夫の弱点を(おそらく無意識に)過剰に利用することで心の平静を保ちつつ、制度に捕らわれない自身の性的嗜好には従順。 [review][投票(1)]
★5夜明けのすべて(2023/日)三宅唱は今回も周到に定型を避けながら物語を語る。登場人物たちは何も主張しない。悪人も登場しない、というより人の悪い面を描こうとしない。みんな相手のことをよく見る、が不用意に見つめ合ったりしない。むしろ心理的にも物理的にも同じ方向を向こうする。 [review][投票(3)]
★5瞳をとじて(2023/スペイン)劇中映画の題名は「別れのまなざし」だ。それはきっと別離を惜しむ哀しいまなざしだろう。その視線を受け入れて幕を下ろすように自ら瞳をとじたとき、その闇のなかに人は何をみるのだろか。終われずにいる者に向けたビクトル・エリセの自戒を込めた惜別の映画。 [review][投票(3)]
★4サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020/スペイン=米=伊)やぁ、楽し映画でした。現役世代に相手にされなくなった皮肉屋ニューヨーカーの成れの果てウォレス・ショーンの懲りない意固地さ。なんか可愛らしいじゃないですか。本人はマイペースでめげてないようだし、こんな爺さんになるのも悪くないかもと思いました。 [review][投票]