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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★5三度目の殺人(2017/日)ピンと張りつめた温度の低い画面。それは事件の高揚の反動のようだ。“生れてこなかった方が良い人間もいる”“誰を裁くのかを、誰が決めるのか”“ここでは誰も本当のことを言わない”“あなたはただの器なのか”そんな呪詛が我々を常識のらち外へと導いていく。 [review][投票(1)]
★4エル ELLE(2016/仏)不穏な緊張の持続が心地よい。主人公をはじめ女たちは非情な扱いや、面倒な出来事にみまわれるのだが、みな冷静で決して取り乱したりしない。この徹底は、女の本性や強さといったありきたりな“状態”ではなさそうで、観終わってしばらく上手く理解できなかった。 [review][投票]
★4散歩する侵略者(2017/日)女子高生のぶっ飛んだつかみで一気に物語に引き込まれる。大げさな細工や言い訳もせずに、何の違和感もなく“違和”を日常に定着させてしまう黒沢清の技は日本映画界の誇るべき至芸。刑事の「自分」や、牧師の「愛」に関するやり取りも皮肉がきいていて可笑しい。 [review][投票(1)]
★4パターソン(2016/米)日々の雑事が人生なら、詩作は濾過された人生の痕跡。詩心皆無の私など映画館の闇で雑事を紛わすのが関の山。夫を愛する自分を含め、感性のままに総てを謳歌するゴルシフテ・ファラハニもキュート。彼女の夢語りに始まり頻繁に登場する“双子”も楽しい。 [review][投票(4)]
★3ワンダーウーマン(2017/米)勝手にパティ・ジェンキンスに辛辣な男批判を期待した。多少の男性中心社会への揶揄はあれ、何万発の弾丸に楯一枚で防戦するガル・ギャドットは痛々しくも健気で、私の男目線がむくむ目を覚まし思わず胸が熱くなり、最後はハスキーボイスの囚われの身に。 [review][投票]
★3男はつらいよ 寅次郎純情詩集(1976/日)世間知らずで金銭の苦労を知らない能天気なお嬢さんだが、政略結婚の末に病弱が理由で一方的に離縁された幸薄い中年女という、表裏の悲劇性を京マチ子が演じ切れていないのが最大の弱点。シリーズ史上最も冒険的な結末も、貧富と幸福という命題に一歩届かず。[投票(1)]
★3男はつらいよ 葛飾立志篇(1975/日)眼鏡を掛けただけでどうにかなる分けもなく、樫山文枝に学問に身を捧げる女の迫力を感じないので、初めて「己を知る」ことに直面した葛藤が伝わらず主題が拡散する。初々しくも桜田淳子が堂々の存在感。続けていればいい女優さになっただろうに。 [投票(1)]
★4男はつらいよ 寅次郎夢枕(1972/日)寅が恋の苦しさについて切々と語る件があるが、千代(八千草薫)に対する態度は明らかに違う。可憐な未亡人であり、小便垂れの幼なじみ。「おんな」であり「故郷」でもある。千代は恋愛の対象だったのだろうか。千代との男と女としての距離はあまりに曖昧だった。 [review][投票(3)]
★4男はつらいよ 奮闘篇(1971/日)「脳が足りないバカ息子」は大衆のなかに居場所を見つけ、「頭の薄い娘」は子供たちのなかでリーダとして生きがいを得る。はみ出し者や弱者に向けた山田洋二の正直さが滲む。寅の「死ぬわけねぇよなぁ」はTVシリーズへの返歌であり、映画のシリーズ化宣言か。[投票(1)]
★5ミスター・ノーボディ(1975/独=仏=伊)西部劇は語るのではなく、銃で魅せろという心意気。ハリウッドへの敬意に溢れたパロディには気負いや嫌味がなく心地よく笑わせてくれる。これは伝統と伝説への賛歌であり、明るく陽気な葬送曲だ。ジュゼッペ・ルッツォリーニの精緻な撮影も作品の品を担保する。[投票(1)]
★5スローターハウス5(1972/米)同じ口調で悲惨、平穏、至福が淡々と描かれる。同一線上に存在する過去、現在、未来の混沌は因果関係を喪失させるという実証映画。悔いとは出発点のない「やり直し」であり現実は現実として受け入れろという達観。どうしても、やり直すなら別世界でどうぞ、ですか。[投票]
★4ミニー&モスコウィッツ(1971/米)H・ボガードに「男」を投影する男と「女」の幸福を夢見る女は、共に地に足着かず“現実”から少しだけ浮いている。理性で折り合えない不器用な恋愛は計算が無いぶん反省も必要ない。馬鹿正直は現実の澱を洗い流し“理想的な現実”になるという騒々しいラブコメ。[投票(1)]
★4天国の日々(1978/米)広大な麦畑にぽつりと建つ豪奢な館は、資本原理を極めた者の孤独の象徴で、さすらいの労働者にとっては自由を奪う鳥籠だ。流浪の恋人は身分の開放を求め制度の囚われ人となるも、成り上がりは穢れなき自然の摂理に中和され、至極の映像美が格差悲劇を曖昧化する功罪。 [投票]
★3ロスト・イン・パリ(2016/仏=ベルギー)ドミニク・アベルの均整のとれ過ぎた立ち姿のぎこちなさが素晴らしく、国旗を突っ立てた真っ赤な巨大バックパックがスタスタと“歩く”可笑しさは、チャップリンのダブダブの燕尾服にハットとステッキに値する記号となる。足りないのは活劇に徹する覚悟と凄味。 [review][投票]
★5ローサは密告された(2016/フィリピン)たとえピントがボケようが“撮る”ことを放棄しない。劇映画なのに露骨なまでにカメラの意思が貫かれる。それは、今の自分たちの社会のありようを、語るのではなく、見つめるのでもなく、見せるのだという強い思の表れだ。私たちの目はまんまと釘づけにされる。 [review][投票(3)]
★4拳銃魔(1949/米)善良でありながら、銃という凶器に同化していく男(ジョン・ドール)のどうしようもなく危うい生い立ちが悲しい。そんな男が愛したのは同好の銃使いの女(ペギー・カミンズ)だが、生きる術として銃に馴染んだ女は、銃そのものである男を“守護者”として選んだのだ。 [review][投票(1)]
★3裸の町(1948/米)物語の機微や役者の技量の負担を軽減する点でモノローグの多用はルール違反の感がないではないが、最後まで興味をそらさない話術と編集も芸のうち。皮肉交じりの語りかけはW・アレンの洗練へ、高架チェイスは『フレンチ・コネクション』の緊迫へと収斂しのたか。[投票]
★4ジョギング渡り鳥(2015/日)試行錯誤が生む多大な熱量をはらんだ物語の「断片」が、157分という長尺を費やした末に、鮮やかとは言えないが、かと言って強引にでもなく「人の寂しさ」という主題に武骨に収斂してくさまが感動的。ロバート・アルトマンの洗練の対極に位置する熱い群像劇。 [review][投票]
★4海辺の生と死(2017/日)その恋は一瞬にして点火し熱を発散させながら空襲(死)の気配のなか発火する。南の島の熱気と湿気をふりまきながら、そんな女の心情を満島ひかりが体現し尽くす。理性のタガがはずれたように本能のままに男にすがり続けるクライマックスの夜の浜辺のは圧巻。 [review][投票(1)]
★420センチュリー・ウーマン(2016/米)大恐慌と大戦を知るシングルマザー(アネット・ベニング)は、ひたすら強気で人生を突き進むことで幸不幸という価値の外側に身を置いて平穏を保ってきたのだ。そして55歳、あらゆる価値が変転する70年代に直面し“幸福”の意味が分からない自分に戸惑い立ち尽くす。 [review][投票(1)]