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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★3天国の駅(1984/日)かよ(吉永小百合)をどこまでサディスティックに汚せるかがカギのはずだが、小百合バリアの前に中村、三浦、津川の卑屈さやずるさが自己完結してしまい、女囚の諦観と覚悟が絵空ごとに見える。足りないのは予定調和でなく不協和音としての美を覚醒する覚悟。[投票(1)]
★4ウォンテッド(2008/米)ファザコンのパニック障害野郎が、美女調教師の慈愛のもと超絶マゾ体験を経て正義の行使者たるサディストへ。肉体的苦行は精神を麻痺させ、痛みの記憶が屈強な意志をささえる。過剰な効果映像の洪水のなかでも皮膚感覚を失わないマカボイとアンジーの肉体が良い。[投票(2)]
★4イントゥ・ザ・ワイルド(2007/米)一見、クリスは絶望から希望へと向かっているように見えて、実は精神的に常に一人であるという点で、自身も気づかぬうちにより深い絶望へと突き進んでいる。無自覚に大自然を希求するという行為は死への逃避であり、それに気づかない鈍感こそが人間のエゴなのだ。 [review][投票(3)]
★4太平洋奇跡の作戦 キスカ(1965/日)三船敏郎山村聡のおう揚達観ぶりと、西村晃の短絡小心ぶりはキャラの極地。いかに敵と戦わずに事を済ますかに、全身全霊を費やした軍人の話しは戦争映画というより、「待つ」という心の抑制と緊張のサスペンス映画。そしてもちろん最良の特撮映画。[投票]
★3ボクサー(1977/日)寺山らしい手負い男(文太&健太郎)の、だからこそ真っ当な成り上がり物語と、これまた寺山的、娼婦と酒飲みと博打打に象徴される生活者たちが嫌味なく意外とすんなり混在している。両方の世界を結ぶかのようなゲスで純粋な春川ますみの存在感がポイント。 [投票(1)]
★4ヤッターマン(2008/日)よい子のための映画として、実に正しい胡散臭さを放っている。日常を離れた闇のなかでかいま見る、ちょっとエッチな大人世界。子供が映画を見る意義のひとつがソコにある。ナンセンスメカの躍動を見事に再現してみせた特殊効果スタッフと三池崇史の甘い毒に4点。 [review][投票(6)]
★4満員電車(1957/日)この嫌味な毒入り喜劇がオリジナルだという点が、和田の時代感覚の鋭敏さの証し。登場人物の誰もが、一見、主体性を保っているかのようでありながら、見えない枠に閉じ込められ社会というドブ川を流されていくさまが滑稽であり悲しくもある。市川喜劇のベスト。 [投票]
★2蟹工船(1953/日)朗々と悲劇が語られ先鋭的アジテーションや告発がなされるのかと思いきや、サイレント時代のエイゼンシュテインを彷彿とさせる映像優先ぶりは監督山村聡の計算か、撮影監督宮島義勇のたくらみか。この映画エリート臭で、当時の大衆にコミットできたか疑問。[投票]
★3その木戸を通って(1993/日)かぐや姫であれば月を愛でることで心も癒せるのだろうか。いや、逆だろう。姿はもちろん痕跡すらいっそ目にしない方が心休まるだろう。男の子(中井貴一)の気持を察する大人の男たち(フランキー堺井川比佐志)の優しさに幸福の幅と数奇が潜む。 [review][投票]
★3ジャージの二人(2008/日)良心的に解釈すれば、ある種の自然体を謳歌する父(家族の軸)の系譜に連なる子供たちや、さらにそこに連なる外部(嫁)の係わりの不確かさの話しなのだろう。その点で鮎川誠の存在は充分機能しているのだが全体に統制が効いていないので結果何も起きない。 [review][投票(2)]
★5張込み(1957/日)若干の地理的移動以外は、全編通じて猛烈な暑気に支配された静的な設定であるにもかかわらず終始映画が躍動している。それは、遅々とした日常と、若い刑事の忸怩たる心の動揺が増幅された動きだ。微塵の隙もなく、かつ驚くべき丁寧さで紡がれたショット群の賜物。[投票(2)]
★3悲夢(2008/韓国=日)とめどない無意識の欲望が、相手の限りない絶望を生むという意地悪く抜き差しならぬスリリングさに期待が高まるも、そんな状況をいささか持て余しぎみで、話は男と女の我慢比べに終始して何ら新たな展開をみず、ついに蝶の飛翔ではやはりセンチメンタルに過ぎる。[投票(1)]
★4盲獣(1969/日)この映画は、触覚でしか得られぬエクスタシーを、視覚でしか共有できない観客へ伝播させるという矛盾をはらんでいる。 ポイントは緑魔子の身体の曲線にそって男が這わせる指の動きと、それに抗う女の肉体のせめぎ合いの淫靡さの表出であり、充分に成功している。[投票(3)]
★4黒の超特急(1964/日)策士の中江(加東大介)にしろ、金、金、金の桔梗(田宮二郎)や陽子(藤由紀子)にしろ、計算ずくで暗躍しているつもりが、いつの間にか裏の高み君臨する権力に身を絡めとられてしまう苦渋。この有無を言わさぬトリッキーさがサスペンスとして一級。[投票]
★3からっ風野郎(1960/日)愛川(船越英二)から、二代目と持ち上げられたところで三島由紀夫演じる朝比奈は、甘ったれた不良高校生にしか見えないのだが、これはこれで得がたいキャラクターでもある。ただ、彼を取り巻く脇役の個性が凄すぎて若尾文子ですらかすんで見える。 [review][投票]
★4チェンジリング(2008/米)弱者の最後の望みの綱である純粋な母性の意地が、薄汚い社会悪の意地とはからずも対峙してしまい、抜き差しならぬ事態へと巻き込まれていくさまが実にスリリングだ。物語に込められた「責任」の遂行が「希望」を生み続けるのだという勇気ある未来志向に賛同する。 [review][投票(6)]
★4第五福竜丸(1959/日)この作品がもつ静かな力強さは、例えば愛吉(宇野重吉)らを看る臨床医(永井智雄)を始め、学者、為政者、そして愛吉の無言の帰省を送り、迎える総ての人びとが示す誠実さから生まれている。人の誠実さが担保されなければ、この問題は何も解決しないというのは正しい。[投票(1)]
★3心(1973/日)何故、1973年にあえて漱石なのかは分からぬが、この意外と単純な普遍的男女のエゴ話が、70年代の映画に特有のテイスト、つまり停滞と閉塞感にしっくり馴染んでいるのが面白い。それにしても、新藤作品における母と娘(実娘であれ嫁であれ)の存在感の特異なこと。[投票]
★4薮の中の黒猫(1968/日)羅生門』や『雨月物語』がちらつき、海外の賞狙い感満々なのだが、様式美のなかにも60年代的スピード感と、モダンさが漂うのは新藤兼人ならでは。乙羽、 太地の母娘に、後の『ふくろう』の大竹しのぶ伊藤歩母子の原型がみてとれたのが発見。[投票(1)]
★3チャイナタウン(1974/米)仕立ての良い服が体にしくり馴染むような心地よさで物語りは語られ、さりげなく調理された活きの良い素材のように役者たちの味が染み出る。その華美さを排除したオーソドックスな演出が、チャイナタウンで迎えるエンディングの映画的純度をより高めている。 [投票(2)]