★4 | 本陣殺人事件(1975/日) | 高林陽一が創りだす明と暗の妙味。陽炎立つ葬儀のまばゆさと、春雪に見舞われた婚礼の薄暗さが名門一柳家の運命を象徴して哀れ。逆光に輝く水しぶき、琴の弦、そして鈴(高沢順子)の瞳のカットバックに、本陣の旧家に秘められた情念を感じる。
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★2 | 時には娼婦のように(1978/日) | 展開に説得力がなくなかにし礼にも鹿沼えりにも感情移入できない。叙情的な音楽もリアルな小沼勝演出とかみ合わずちぐはぐ感がつきまとう。多大な借財返済のために、なかにし本人が企画したそうだが、制作の動機の不純さがもろに出た筋の悪い映画。 | [投票] |
★2 | 天国にいちばん近い島(1984/日) | 峰岸徹と赤座美代子のロマンスに説得力がないのが致命傷。パーマネント・バージン原田知世は、デビュー以来今に至るまでまったく作品にめぐまれないにもかかわらず、可愛さだけで観客を満足させてしまう監督にとって本当にありがたい女優さん。 | [投票(1)] |
★2 | 桃太郎侍(1957/日) | テレビ普及前夜。当時の娯楽欲求を消費するためだけに大量生産された中のしょせん一本。しかし、大道具・小道具、シーンごとに変わる浦路洋子・木暮実千代の着物の艶やかさに活動屋の心意気が見える。 | [投票] |
★3 | チャップリンの駈落(1915/米) | 前半の小技の連発から、一気に最後はスピードギャグへ。90年近く前のカーチェイスが見もの。 | [投票] |
★3 | ジャコ萬と鉄(1949/日) | 終戦直後。死んだと思った二人が亡霊のように現れる。本当の亡霊は前世代をひきずる進藤英太郎。当人達も気付かない新旧の価値観の錯綜がおもしろい。新しい時代・戦後の始まり。 | [投票] |
★4 | ろくでなし稼業(1961/日) | ヒラヒラ、ピョンピョンと移動し、派手な身振り手振りで顔を突き出しセリフを決める。ワイドスクリーンの中で躍動する正に銀幕のアクションスター宍戸錠。全盛期の松田優作がこんな感じだった。お坊ちゃん顔の二谷英明のろくでなしぶりもいい。 | [投票] |
★5 | 早射ち野郎(1961/日) | いいじゃないですか、エースのジョー(宍戸錠)。クラクラするぐらい面白い。久しく忘れていた。映画は夢の再生装置だった。そうだ錠さん、西部劇好きに悪い奴はいない。おもちゃの拳銃をベルトに突っ込んで、野原を駆け回っていた子供の頃を思い出す。 | [投票] |
★3 | Jam Films(2002/日) | 7つの短編に共通の意識や課題もなく、まして15分というごまかしのきかない長さのために各作家の資質がもろに露見してしまい、しかもその出来不出来の差があまりにも激しくトータルとしての点数のつけようがないのだが、とりあえず3点。 [review] | [投票] |
★3 | もだえ(1944/スウェーデン) | 折り目正しい画作りに風格さえただよう。世情として、サディスト教師にナチを重ねて観るのは穿ち過ぎなのだろうか?スウェーデンの事は良く知らないので、正直なところそのあたりの解釈の加減が分からない。 | [投票] |
★5 | 秋刀魚の味(1962/日) | すべての男は寂しがり屋である。「最後はひとり」という宿命に気づいた男たちの哀愁が立ち込める。昭和の前半を生き抜き晩節を迎えんとする男の焦燥と愛惜を描いて、黒澤の『生きる』と双璧をなす傑作。そして、静かなる怪優笠智衆の快心作。 | [投票(2)] |
★3 | 火星のカノン(2001/日) | 久野真紀子・中村麻美・小日向文世の関係の行く末が興味深く、どこに落ちつくのか分らない魅惑的な話。なのに風間志織監督の作り出す画が、あまりにも退屈でせっかくのストーリーを殺してしまった。久野の好演がもったいない。 | [投票] |
★3 | とらばいゆ(2001/日) | 幸せは見つけるものでも掴むものでもなく、創るものである。と、私は思っている。話を主体性の獲得の問題にまで昇華しないと、ジェンダーの逆転という現代的な面白さはあっても映画的な新鮮さはさは感じない。 | [投票] |
★3 | うつつ(2002/日) | 虚を実に見せ、実を虚に見せ、と思いきや・・・という嘘と誠のバランステクニックがためされる難しい題材。案の定、当摩寿史監督の手法は画一的でどこか古臭く、そしてくどい。残念ながら野暮ったいテレビドラマの域を出ず。 | [投票(1)] |
★3 | 大殺陣 雄呂血(1966/日) | つくづくツキの無い男の話。人に物事をたのまれる時って、ほんといい話しか聞かされませんよ。現代に置きかえて涙のサラリーマン侍・雄呂血とかリメイクしたらきっと面白いのに。 | [投票] |
★2 | 霧笛が俺を呼んでいる(1960/日) | 世間が言うほど赤木に華はなく、吉永の大根ぶりはすでにデビュー当初に露見していたという発見以外に意義を見いだすとすれば、さりげなく社会悪を意識する熊井啓脚本と、徹底的に奥行きにこだわる姫田真佐久カメラマンに職人の心意気を感じるぐらい。 | [投票(1)] |
★3 | 小早川家の秋(1961/日) | 「失われつつある時」と「迎えつつある時」の「つつ」という時代の節目を見事に進行形で捕える。しかし、役者達のクセのせいなのだろ、随所に映画的リズムの乱れがつきまとう。いや、それも「つつ」のうちかも知れない。5点でも良いのかも。 | [投票] |
★2 | Laundry〈ランドリー〉(2001/日) | かつて見たダスティン・ホフマンやトム・ハンクスのように窪塚洋介はふるまい、いつか見た香港映画のヒロインのように小雪はたたずむ。自覚を持たない森淳一監督のカメラには何も映らず、そこにはただ模倣という手法が見え隠れするだけ。
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★3 | 彼岸花(1958/日) | 老いも若きも、ご都合よろしく結婚を語たるが、それが御時世なのか信念なのかが判然とせず話の立脚点が曖昧模糊。浪花、山本の投入で喜劇としては新鮮だが、それも佐分利の頑なさが中和して憂鬱。さらに終演に向かう件もくどいので頑固親父のペーソスも生まれない。 | [投票(1)] |
★4 | ロックンロールミシン(2002/日) | 凌一(池内博之)たちは、まだ繭の中にいるのだ。工房を包む柔らかい陽は、繭の内側で感じる輝かしい外光の予感なのだ。彼らがいつの日にか外界へと飛翔し、ストロボラッシュで世界を逆照射する日が訪れることを祈らずにいられない。良い映画だと思う。
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