★2 | 生きたい(1999/日) | 三国連太郎のあつかましくも寂しい老人像はそれなりに説得力はある。大竹しのぶの躁鬱演技も単独で見れば面白い。劇中劇の『楢山節考』も丁寧。しかし全てがパラレルで何も共鳴しない。だから何も生まれない。 | [投票(1)] |
★3 | 雄呂血(1925/日) | 市井の人たちが抱いている理不尽さや窮屈さは、何時の時代も同じ。人々の日常の閉塞感を的確にとらえカタチにする職人的な技が、興行的な価値と表現的な進歩を生み出す、という映画の基本を思い出させてくれるかつての一級娯楽作品。 | [投票] |
★4 | 決闘高田の馬場(1937/日) | 阿波踊りかブレイクダンスを彷彿とさせるステップ。取り巻く数百の見物人。観客もその渦に飲み込まれる。まさに祭りの陶酔。映画的興奮を知り尽くしたマキノ正博と稀代のダンシングアクター坂東妻三郎の技と芸に娯楽の原点をみた。 | [投票(3)] |
★3 | 極道の妻たち(1986/日) | ヤクザ映画にこだわる東映で、この企画に目をつけた日下部五朗プロデューサーの嗅覚はさすが。しかし岩下志麻の葛藤とかたせ梨乃の恋路に説得力がなく、極妻が任侠路線、実録路線に続く新たな路線を襲名するにはちょっと不安なスタート作品。 | [投票] |
★3 | 舞姫(1989/日=独) | すでに三十路に入った郷ひろみが、忠誠心漂う凛々しさと若輩ゆえの危うさが生む若気の至りを好演。宮川一夫の切り取るベルリンの四季も泰西名画のように美しい。惜しむらくは横恋慕組みが幼稚なのと、舞姫はもう少しスリムで可憐であって欲しかった。 | [投票(1)] |
★5 | 愛と希望の街(1959/日) | 大島渚は「リアルと観念」をフィルムの上に両立させることのできる稀代の作家である、ということをデビュー作にして証明した。演技者を突き放してとらえるシビアな視線が、観る者の空想や情緒を徹底的に排除する。最後の5分間は身震いが止まらない。 | [投票(4)] |
★3 | 柳生一族の陰謀(1978/日) | 次々に登場する豪華出演陣の個性は殺さず、見せ場が終わると惜しげもなくその役は殺してしまう。これぞ「捨てる技術」の極意。この手のごちゃごちゃ劇を、手際よくエンターテインメントにまとめ上げるのが深作欣二は本当に上手い。 | [投票(5)] |
★4 | 軍旗はためく下に(1972/日) | 人間は一つの価値に染まったとき、底知れぬ陶酔感に支配される。そこに餓えと衰弱という、極限的苦痛が加わればかすかに残った理性などあっけなく破壊されてしまうのだろう。端正な新藤兼人脚本に深作欣二の擬似ドキュメントタッチがみごとに調和。 | [投票] |
★4 | 叫びとささやき(1972/スウェーデン) | 嫌な映画である。ベルイマンの真摯な悪意が、フィルムにとり憑いたかのような赤と白と黒。しかし目をそむけるどころか意識がスクリーンに吸い寄せられてしまう。きっとそれは、心の底に隠したはずの不安を暴かれるマゾヒスティックな快感を誘うからだろう。
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★3 | 冬の光(1963/スウェーデン) | 悲惨である。信じるものに頼る。では何を信じるのか。神か、人か、己か?。どうせ裏切られるのであれば、神よりは得体の知れた他人や自分に絶望し思い悩む方が気楽だ。神とはなんと罪作りな概念なんだ、と俗人の私は思ってしまうのであります。 | [投票] |
★4 | 野いちご(1957/スウェーデン) | なんとも残酷な話である。これは、若きベルイマンの「人生と希望」に対する懐疑の、あるいは「エゴと寛容」に対する戒め表出だろうか。いずれにしろ、人生の終わりも近い老医師に突きつける取り戻すことのできない記憶の堆積は、反面教師にしても重すぎる。
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★3 | 13日の金曜日(1980/米) | 見えそうで見えないのはジェイソン君とエイドリアン・キングの裸。恐怖映画とお色気映画の基本は同じ。その代わりといっては何ですが、他の女優さん達が意味もなく下着姿でうろうろするサービス付き。 | [投票] |
★1 | D(1999/日) | オタク達の映画ごっこと割り切ったところで、とても鑑賞には耐えられない。怪獣と戦闘服以外への無関心・無責任ぶりは確信犯と思われるも、それは映画媒体に対する愛情の欠如か侮辱にしか見えない。 | [投票(1)] |
★4 | 赤ちょうちん(1974/日) | 60年代の青春が不足に対する充足願望を推力にしたならば、70年代は充足の中の孤立打破を推力にする。義眼(=見えない目)を飲み込み世間と対峙しようとする男、義眼をお守りに世間に耐えようとする女。あの時代の、そんな気分。 | [投票(2)] |
★3 | あの、夏の日・とんでろじいちゃん(1999/日) | 「大人から子供まで楽しめる映画」を狙うことは悪いことでは無い。しかし、子供を過剰に意識すると不要な饒舌さが映画を支配する。子供は子供だからこそ、想像力で未知の物語を自分のものとして追体験し得る。それがファンタジーではないのか。 | [投票] |
★3 | ピンチランナー(2000/日) | 冒頭から70〜80年代青春映画の臭いをプンプン放つ那須博之監督の律儀な演出に思わず身をのり出し・・・ [review] | [投票] |
★4 | OKINAWAN BOYS オキナワの少年(1983/日) | 戦後生まれの琉球少年は、強大なアメリカの力にふたをされた日々を生き、みなパスポートを手に一度は最も近い自由の地・本土を目指す。そこで彼らは自分が、日本人ではない日本人だと知る。国家の狭間で奪い取られるアイデンティティがここにもある。 | [投票(2)] |
★3 | ホワイトアウト(2000/日) | 織田裕二と松嶋菜々子の確執。中村嘉葎雄の孤独。佐藤浩市の諦観。吹越満の怨念。アクション映画だからこそ、そういった個々の思いをもっと丁寧に、そして的確に描かないと話の軸が成立しない。ありがちな、ただの大作ダイジェスト映画。
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★3 | リング0・バースデイ(2000/日) | 大仕掛けやハッタリ無しで、怖がらせようとする素直でシンプルな演出は好きです。惜しむらくは仲間由紀恵が唯のお人形さん。もっと貞子の悲しみを伝える力があれば、そして後半がもっと丁寧に作られていれば『キャリー』になり得たかも知れない。 | [投票(1)] |
★4 | 大空港(1970/米) | 豪雪・着陸事故・職人・渋滞・夫婦不和・義兄弟・セクショナリズム・不倫・望まぬ妊娠・孤独老人・不正搭乗・騒音問題・政治・税関・失業、爆弾。これだけ詰め込んでも消化不良を起こさず、面白いのだから大したものだ。編集と音響効果の緩急が絶妙。 | [投票(2)] |