★5 | GO(2001/日) | 爆発・黙考・喜び・不安・悲壮・混乱・反抗。心と行動の振幅が疾走感とともに見事にスクリーン上に展開される。非凡な映像センスとは、こういう事をいうのだろう。キレのいい脚本構成も見逃せない。 [review] | [投票(33)] |
★5 | 下妻物語(2004/日) | 心の歪みの体現でしかないロココ娘とヤンキー姉ちゃんの心中に、不器用な意地とひた向きさが見え隠れする。人なつこい笑顔をイチゴ(土屋アンナ)が見せるたび涙かあふれそうになった。中島哲也はきっとイチゴ同様、人が好きで好きでたまらないのだ。 [review] | [投票(27)] |
★5 | 殺人の追憶(2003/韓国) | 捜査に携わる男たちの焦りが、何か大きなものに急き立てられる苛立ちへといつしか変わっていく。それは、やり残したことを抱えながら青春を終えなければならない少年のやるせなさに似ている。目に見えない「ある価値」の終焉が映画の根底に存在するからだ。 [review] | [投票(24)] |
★5 | 誰も知らない(2004/日) | 子供のような大人が少なからず存在するという事実には、昨今の事件を見ていればもう驚かないが、その子供達がいくら健気に、あるいは逞しく、あたかも大人のようにふるまったとしても、彼らは「愛情の奴隷」でしかないという点において非力なのである。 [review] | [投票(23)] |
★5 | クラッシュ(2005/米=独) | 同じであるということが生む安心感と、違うということがかき立てる不安感。それが人間の本能である限り、この世から差別や偏見は絶対になくならないのだろう。ここで描かれる衝突は、社会的な背景が生むうわべの現象などではなく人間そのもの心の衝突である。 [review] | [投票(18)] |
★5 | となりのトトロ(1988/日) | 私の育った家のそばにはマーモーが棲んでいました。 [review] | [投票(18)] |
★5 | 運命じゃない人(2004/日) | タイムシフトは、活劇や心理描写とならぶ映画の醍醐味のひとつだが、ここまで緻密かつスマートに時間と空間と人間の関係を手玉にとって観客を楽しませてくれる作品は珍しい。嫌味がなく上品で、軽やかで暖かい。こういう映画こそ一級の娯楽と呼ぶに相応しい。 [review] | [投票(17)] |
★5 | エレファント(2003/米) | 彼らの肩越しに、向こう側を覗いたところで何かが見えるわけではない。彼らが見ているのと同じ日常があるだけだ。ただ確実なのは、その日常が限りなく不確実だということだけだ。次の瞬間、何かが起きても起きなくても、それが生きているということなのだ。 [review] | [投票(15)] |
★5 | ダークナイト(2008/米) | 旧来型の道徳的正義は、仮面をつけることの特権性と欺瞞性に苦悩する。そして、支配ではなく君臨に意義を見出す絶対悪は、二者択一の無意味さと危うさに酔いしれる。クリストファー・ノーランが描く容赦なき暴力と破壊の連鎖に、今日的価値の混乱と倒錯がみえる。 [review] | [投票(14)] |
★5 | グエムル 漢江の怪物(2006/韓国) | ポン・ジュノの目は社会システムの汚染や腐敗へ向けられているのではない。その矛盾の存在に気づかぬ者に対し警鐘を鳴らし、むしろ外見の平穏の中で麻痺し蓄積したある種の鈍感さを批判しているのだ。グエムルは日常を覚醒するために投入された異物なのだ。 [review] | [投票(14)] |
★5 | ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984/独=米) | 日常は、過去と現在と未来が連続しているから成り立つ。“現在”だけが、ただ繰り返し時間が過ぎていくときに、人は孤独を自覚する。ワン・シークエンスをワン・ショットで積み重ね、その間をまばたきのように暗転で切断する。見事な孤独の成立。 | [投票(14)] |
★5 | イージー・ライダー(1969/米) | [ネタバレ?(Y6:N8)] 中学生のとき、自転車をチョッパーハンドルに改造して乗っていたが撃たれずにすんだ。 | [投票(14)] |
★5 | 空気人形(2009/日) | 人形が心を持ち人間になる話しだど思っていた。違っていた。人形は人間のような「もの」になるだけだ。そして、人間のような「者」たちの狭間で嬉々として、生に憧れ、愛を模索する。「されること」と「してあげること」。燃えないゴミと、燃えるゴミの交歓が切ない。 [review] | [投票(13)] |
★5 | ミスト(2007/米) | 「やるだけのことはやった」という言葉が、成果ではなく諦観のなかで語られる恐怖。さらに絶望のどん底へとたたき落とされた者の計り知れぬ悲嘆すら、所詮は1人の人間の力の及ぶ範疇の事象でしかなく、本当の力とは別次元に存在することを思い知らされる恐怖。 [review] | [投票(13)] |
★5 | 告白(2010/日) | 語られるのは女教師による「命の重さ」についての、いわば裏正論である。中島哲也は「裏」が持つ危うさや後ろめたさを、歯切れの良い快活な演出で巧妙にはぐらかし、立場や通念という感覚を麻痺させる。焙り出されるのは「裏」が「表」を凌駕する高揚と寂寥と錯覚。 [review] | [投票(12)] |
★5 | バベル(2006/仏=米=メキシコ) | 巧みな脚本、演出、編集で、時間と地平を操りながら143分間、延々繰り広げられる人々の苦渋と焦燥は、とりとめなく拡散し続け収拾を見ない。死の問題は放置され、他方で唐突に誕生が示される。しかし、この混沌と迷走こそが人間を真摯に描こうとした証なのだ。 [review] | [投票(11)] |
★5 | 嫌われ松子の一生(2006/日) | 圧倒的なスピードで一気呵成に一生分の悲しみを総体として見せることで、与え続けても報われることのなかった愛こそが、最も崇高な愛なのかもしれないという伝説的逸話に説得力が生まれている。そこには、映画だからこそ表現できる愛のカタチが確かにある。 [review] | [投票(11)] |
★5 | 天国と地獄(1963/日) | 追いつめられる男達の映画。権藤は権力争いと倫理観に、運転手・青木は主従関係と恩義に、戸倉警部は正義感と権藤の立場に、犯人は大きな傷と世論に・・・切迫感の波紋と伝染。 | [投票(11)] |
★5 | 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け(1976/日) | 話の筋立て(脚本)の妙味に加えて、太地喜和子のあっけらかんとした感情の振幅と宇野重吉の不良ジジイぶり、そして渥美清のノリの良さが絶妙のまわいを生み出す。人情喜劇かくあるべし! | [投票(11)] |
★5 | スケアクロウ(1973/米) | 暴力や笑われることでしか世間と意思疎通できない男たち。誰も信じられない粗暴者を「悪」と言い切れるだろうか。笑われることで平穏を確保する道化者が「善」なのだろうか。二人は友情など通り越して、互いに依存し合う関係になっている。心の傷は深く痛々しい。 | [投票(11)] |