ぽんしゅうさんのコメント: 点数順
影武者(1980/日) | スケールにこだわったせいか、末期のハリウッド・スペクタクル映画程度の面白さしか無い。それで充分と言われないところが“巨匠”のつらいところ。 | [投票(2)] | |
菊次郎の夏(1999/日) | 題材へのテレか、前半のわざと入れたベタなギャグが上滑り。もっと素直になれば良いものを演出トーンがつかめず戸惑う。一転、帰路の自由遊びの映画的解放感が楽しい。「タコ井手」の股間でうごめく「井手ダコ」のシュール。こんなベネチア受賞作家観たことない。 | [投票(2)] | |
東京日和(1997/日) | 周防のはみ出しシャツ、中島みゆきの人形コスプレ、森田芳光のビン底メガネ。これがあるから、単純なフォトジェニック映画にならなっかた。 | [投票(2)] | |
落下の解剖学(2023/仏) | 上昇志向が強く自己実現のためなら家族(制度)は二の次だが、息子への愛情はないわけではなく、母親としてとるべき距離をとれない後ろめたさを、夫の弱点を(おそらく無意識に)過剰に利用することで心の平静を保ちつつ、制度に捕らわれない自身の性的嗜好には従順。 [review] | [投票(1)] | |
カラオケ行こ!(2023/日) | その昔、JK(薬師丸ひろ子)やシスター(志穂美悦子)が何故かヤクザの組長の跡目を継ぐという映画がありまして、本作もそのたぐいで、その場合事前に「はいはい、分かりました。そういう設定で話を進めるのね」という制作側と客の合意がまず必要なのですが・・。 [review] | [投票(1)] | |
NO選挙,NO LIFE(2023/日) | 畠山氏の人物ドキュメンタリーでありつつ、その肩越しに見える泡沫候補者を通して選挙の「常習性」に迫るという二重構造を持ちながら、登場する候補者の人数も時間も限定的にならざるを得ない参院選東京選挙区パートは、やはり焦点が定まらないもどかしさを感じた。 [review] | [投票(1)] | |
月(2023/日) | 施設職員(二階堂ふみ)が洋子(宮沢りえ)に突き付けた、人はみんな目のまえの不快なものを見ないようにして生きているという指摘が、社会といった曖昧な集団ではなく「個々人」に向けて放たれたとき、私はその抜き身の“暴言”の正しさにぐうの音もでない。 [review] | [投票(1)] | |
殺しの烙印(1967/日) | これをプログラムピクチャーでやられたら確かに会社は気の毒だ。順位を競うことを徹底的に皮肉り嗤い無化してしまうこの「ランキング」への強烈なアンチぶりはいったい何に起因しているのだろうか。ナンバーワンを否定する「ナンバーワンのやり口」として実に傍若無人。 | [投票(1)] | |
M3GAN/ミーガン(2022/米) | 話しの主線であるAIの自我の形成と暴走の気味悪さに「物分かりの良いIT玩具に洗脳される子供」や「それにかまけて教育(子育て)から逃避する大人」、そして「人の意識に刷り込まれた殺人の記憶」といった面白そうな補強線が上手くからんでこないのがもったいない。 [review] | [投票(1)] | |
EO イーオー(2022/ポーランド=伊) | 視覚に映る事象の主体と客体が判然としない。統一性を拒否しているような映像コラージュの連鎖は、美しさのなかに猛るようなパッションがたぎり総体として実を結ばないことを目指しているように不穏だ。これがスコリモフスキの自然界と人間界の境界認識なのだろう。 | [投票(1)] | |
せかいのおきく(2023/日) | 武家社会が行き詰まり身分制度にほころびが生じ始めている江戸末期。知らず知らずのうちに時代が動いているのだ。暮らしという日々の円環に閉じられている彼らの生活は、もうすぐ外の世界の循環の輪とつながろうとしているのだ。そんな「大事」を彼らは知る由もない。 [review] | [投票(1)] | |
The Son/息子(2022/英=仏) | 落ち度のある者は一人も出てこない。仕事で成功し家庭にも目配りする良き夫であり、前妻にも息子にも誠実な父親であるこの男(ヒュー・ジャックマン)は、いったい何故こんな目に合わなければならないのだろう。二つの家族のなかに潜む運命では割り切れない悲劇。 [review] | [投票(1)] | |
劇場版 センキョナンデス(2023/日) | 旧態然のイデオロギーは無視して選挙状況とスタイルを面白がる緩めのマイケル・ムーアアプローチ。真摯ながらもルーズな突撃に図らずも見せる候補者の思惑や政党の不要な頑なさは可愛らしくもあり滑稽でもある。良くも悪くも、この浮世離れ感は確かに祭り。 [review] | [投票(1)] | |
コンパートメントNo.6(2021/フィンランド=露=独=エストニア) | モスクワの大学に通い同性の教授と愛し合うフィンランドの留学生(セイディ・ハーラ)。ウォッカを煽りながら傍若無人に境界を越えて無神経にふるまうロシア人労働者(ユーリー・ボリソフ)。大国ロシアに翻弄されてきたフィンランドの歴史が二人に重なる。 [review] | [投票(1)] | |
別れる決心(2022/韓国) | 刑事と被疑者。互いの"想い"を言葉にできない関係だからこそ言葉に翻弄される。多弁なキューピット(翻訳機)も意味は伝えるが意思は伝えない。初めから事件の真相と想いの真意が交わるはずもなく、最後まで刑事は刑事の、被疑者は被疑者のままの二人を深い霧が包む。 [review] | [投票(1)] | |
チャンシルさんには福が多いね(2019/韓国) | ふんわかした邦題が的を射ていていいです。突然、先を見失ったチャンシルさんは、偶然か必然か娑婆を離れて丘の上の一軒家に移る。そこは非難所だったのかもしれない。失った“福”を悔やむのではなく、かつて抱いていた可能性としての“福”の断片を感じること。 [review] | [投票(1)] | |
すべてうまくいきますように(2021/仏=ベルギー) | ほぼ出ずっぱりでソフィーマルソーの思いの変遷と結末に向かう段取りが描かれる。少女時代の父との回想や悪夢も挟まれるが、彼女や妹(ジェラルディン・ペラス)の感情は抑制的に演出される。とても上品な語り口なのだが人の死を扱って淡泊に過ぎる気もした。 [review] | [投票(1)] | |
春江水暖 しゅんこうすいだん(2019/中国) | 人の営みを風景として捉える試み。風景はゆっくりと時間をかけて少しづつ変化する。変化が生む微細な違和を人は日々の生活に追われ直視しない。そしてある日、いつの間にか激変した風景に気づき、戸惑い、時の流れの力を知る。家族の関係もまた同じなのだろう。 [review] | [投票(1)] | |
現代インチキ物語 騙し屋(1964/日) | 占領下に置かれ続ける沖縄。福祉が及ばず街頭に立つ傷痍軍人たち。加熱する大学受験と裏口入試。東京オリンピック前夜の経済成長に沸くニッポンの裏に隠れた問題をさりげなく皮肉る社会派コメディ。個々のエピソードは面白いけど構成に起承転結がなくコント集の感。 [review] | [投票(1)] | |
フレンチ・カンカン(1955/仏) | ダンスと歌がメインのMGMのミュージカルみたいな映画を想像していたら全然ちがった。ラストは物語に絡んできた銀行家や投資家にやきもち焼きの有閑マダム、ヒロインにフラれた王子やパン職人、洗濯女にスリまでが、踊り子取り囲んでやんややんやの大団円。 [review] | [投票(1)] |