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ぽんしゅうさんのコメント: 投票数順

★3至福のとき(2001/中国)東洋的な実利現実主義と西洋的な楽観理想主義が、巧みなバランス感覚で取り込まれた実に計算高い大人のおとぎ話だ。チャン・イーモウによって、観る者の思考もしくは嗜好を試すリトマス試験紙がエンディングの後に仕込まれている。つまり本編は長い前置き。 [review][投票]
★3逆噴射家族(1984/日)社会というもはや実態把握が不能な抽象ではなく、自分が通過し、またこれから築くことになるかも知れない家族に向けられた当時28歳の石井聰亙と31歳の小林よしのりの過剰なまでの破壊意欲は同じように70年代の彷徨を生きた者には充分理解できた。[投票]
★3自由戀愛(2004/日)稀代のエンターテイナー監督原田眞人の手腕が際立ち、明子(長谷川京子)と清子(木村佳乃)の光と影が交錯する前半部分がスリリングで良いのだが、後半の展開がやや性急過ぎて2人の流転に重みと説得力がなく尻切れトンボ感が否めないのが残念。[投票]
★3女は男の未来だ(2004/韓国=仏) 確実に時間は過ぎ去り、周りの状況は変化しているのに自分だけが足踏みをしているかのように一つの所に留まっていることに気づいた時、どこかでボタンを掛け違えたのではないかと、ふとエポックな瞬間まで時間を逆トレースしてみたくなる。でも、過去は過去。 [投票]
★4マイ・ボス マイ・ヒーロー(2001/韓国)一見、他愛のない学園コメディに見せかけて「師・父・頭」に代表される権威への盲従を、あざ笑うかのようにこき下ろすユン・ジェギュンはただ者ではない。ユンの確信的破壊精神は、映画文法の省略と解体により物語の意味という権威すら消そうとしている。 [review][投票]
★3ザ・ドライバー(1978/米)スピード感とクール感だけ残し、めんどくさい説明はガンガンはしょって突っ走るウォルター・ヒル演出が心地よい。その分、本来作品の影となるはずのイザベル・アジャーニの存在感まで吹っ飛んでしまったのと、分かったようで、よく分からん結末で減点。[投票]
★3大江戸の侠児(1960/日)山上伊太郎らしい起伏に富んだ話しの展開と、加藤泰の大胆かつスピーディーな演出で最後までグイグイ引きつける牽引力はさすが。実験的なオプティカル処理と、惚れ惚れする様式的ロングショットの両方が楽しめる掘り出し物のプログラムピクチャー。 [投票]
★3逆襲獄門砦(1956/日)月形龍之介の悪役ぶりの素晴らしさは毎度のことだが、剣劇ものではカタチの芝居しかできない片岡千恵蔵が本作では無骨ながら優しさを漂わせる素朴な狩人を好演。高岩肇内田吐夢のサービス精神満載のプロレタリア・エンターテインメント。[投票]
★4大勝負(1965/日)キャラクターの立ち方も、片岡、大川、高千穂のからみの間合いも完全に日活アクション映画。特に片岡千恵蔵の田舎侍ぶりがコミカルで実に楽しい。隆盛期のパワーを維持しながら斜陽期のアイディアが生んだ貴重なコラボ作品。 [review][投票]
★2密愛(2002/韓国)愛という観念を信じることが出来なくなった男女が、観念よりも行為を優先させることで失ったモノとの距離を確認し、その欠落感を埋めようとする行動は理解できなくはない。だとしたら、互いの肌が擦り切れんばかりに徹底した肉体への執着と性交描写が必要だろう。 [review][投票]
★2英語完全征服(2003/韓国)ラブコメ過当競争の韓国事情からだろうか。何が何でもウケてやろうと、アレもコレも手当たり次第に無理やり映画に取り込むものだから、肝心かなめのラブストーリーがどこかに吹き飛んでしまった。テーマや心情描写をないがしろにした小手先コメディの好事例。[投票]
★3ユダ(2004/日)デジタルビデオ特有の被写体と交わるような距離感は、それなりに時代性に肉薄する効果を上げてはいるが、『肌の隙間』でも感じたが、同時代性をテーマに据えながら佐藤有記の脚本には時代と正面から向き合おうという気迫が決定的に不足している気がする。 [投票]
★4真昼ノ星空(2004/日)ギラギラした情熱や押え切れないときめきではなく、静かで情感に溢れた恋心は、大人になる術を失ってしまった青年の寂しくも無邪気な恋愛そのものへの思慕だ。南国の強い陽射し、吹き抜ける風、湿気を含んだ夜の闇。真昼に星空など見えはしないのだ。 [review][投票]
★3任侠東海道(1958/日)片岡千恵蔵大河内傳次郎月形龍之介のベテランを向こうに回し、相変わらず弾けまくる中村錦之助の桶屋の鬼吉が出色。花柳小菊ら女優陣に華が無いのがいまひとつ。後半の市川右太衛門の独壇場は、さすがに形式的過ぎてちょっと退屈。[投票]
★4黒田騒動(1956/日)ともに体制破壊を狙う幕府方とキリシタンの暗躍。オレがオレがの藩主忠之(片岡栄二郎)のカラ血気ぶりに呆れ顔で防戦する知恵者家老(片岡千恵蔵)。その攻守の描かれ方のバランスが絶妙。成り上がり者倉橋十太夫(南原伸二)の一途さもまた哀れ。[投票]
★2緋ざくら大名(1958/日)時おり顔を出す加藤泰の様式へのこだわりとスピード感が笑いの要素と相容れず、コメディに徹しきれない中途半端な居心地の悪さが終始つきまとう。千秋実の安定感や大河内伝次郎の右往左往ぶりの可笑しさにくらべて他のコメディアンが浮いている。[投票]
★3任侠中仙道(1960/日)緩急自在、留まるところを知らぬ川の流れのような次郎長(片岡千恵蔵)、忠治(市川右太衛門)、伊三郎(月形龍之介)の各一家入り乱れての大太刀回りが夢のように美しい。いつまでも見飽きぬ走馬灯のようだ。天才編集マン宮本信太郎の神業ここに有り。 [review][投票]
★3穴(2001/英)サスペンスとしては「穴」の中が怖くないので楽しくない。ネタもあっちこっちからの寄せ集め感がぬぐえない。それなら思春期女の子モノとして「ああそうだよね、あの『キャリー』も、もしお嬢さん育ちだったらこんなふに・・・」と妙なところで納得してしまった。[投票]
★3地球最後の日(1951/米)面白い!何がって、遥か宇宙の果てまでも見晴るかす科学者の目が、地球上では自分とその周りの選民にしか向けられないというバランスの悪さなどどこ吹く風で、せっせとSFする姿が。くじ引きさえすれば公平だと思い込んでるところなど小学生レベルで微笑ましい。[投票]
★2容疑者 室井慎次(2005/日)冒頭から一気に室井逮捕へと疾走するスピード感に期待が盛り上がるも、中盤以降のもたつきで映画が停滞し続ける。話の行方を左右するはずの状況の変化やエピソードが、流れの中に沈没してしまい物語を動かし気分を高揚させる「きっかけ」として作用していない。[投票]