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ぽんしゅうさんのコメント: 投票数順

★3セクレタリー(2002/米)まず自己を肯定した上でパートナーを肯定するということが恋愛の基本だとすれば、自ら自己を肯定できない者たちの恋愛は痛ましくもあるが、時に滑稽に見えることもある。苦しみの交歓の末に得た二人の結末に、奇妙なユーモア感が溢れるのは、そのせいだろう。 [投票]
★2いらっしゃいませ、患者さま。(2005/日)大友康平に救世主としてのヒーロー感が足りないので、現実からジャンプするコメディパワーが全然生まれない。渡部篤郎からも、やる気のなさがありありと伝わってくる。どうせベタな話しのなのだから、多少あざとくてもブッ飛んだ出鱈目さが欲しかった。[投票]
★3ふり袖捕物帖 若衆変化(1956/日)全編に渡って繰り広げられる歌と踊りのコスプレショー。美空ひばりの魅力を最大限に引き出すために、あの手、この手で、奥の手まで厭わないサービス精神にアイドル映画の真髄を見る。観客と製作者と役者たちが映画館で幸福を共有した時代のシンボル映画。 [投票]
★3ふり袖太平記(1956/日)後年のふてぶてしささえ漂わせる超大者歌手美空ひばりしか知らない者にとって、19歳のひばりがスクリーンに放つ初々しさ、瑞々しさ、可愛らしさは驚嘆に値する。アイドルには理屈抜きの冒険物語がよく似合う。『セラー服と機関銃』を思い出した。[投票]
★4この首一万石(1963/日)体制側の理屈にもてあそばれる名もなき民という、いかにも60年代的政治性を反映した社会派映画。斜陽の坂を転がり落ち始めたプログラムピクチャー群の中で、アイドルスター映画の意匠を借りながらも旺盛な反骨精神を発揮する伊藤大輔の意地に感服する。[投票]
★3月形半平太(1961/日)梅松(丘さとみ)、染八(青山京子) 、歌菊(西崎貢子) ら芸者衆の京言葉と身のこなしが実に味わい深く、心地良い低層音となって舞台を支えている。その幕間に繰り広げられるマキノ雅弘のツボを心得たチャンバラ演出は大衆娯楽映画の極み。[投票]
★2T.R.Y. トライ(2002/日=韓国=中国)関西のボンボン特有の「ゆるさ」が持ち味の大森一樹は、本能的にハリウッド的語り口を嫌悪しているふしがあり、そんな彼にこの企画を撮らせた奴の見識を疑う。監督の肩を持つわけではないが、この程度の「ゆるさ」で済んだことに観客も製作者も安堵すべき。[投票]
★3ブラックボード 背負う人(2000/イラン)奪われ続ける子供達は、もはやどんな急峻な山を前にしても立ち止まることを許されない。追われ失い続ける民達もまた、荒涼たる砂漠の中にすら留まる場所を見出せない。読み書きや数勘定とは手段であり、彼らに本当に必要なのは手段を駆使するための目的。 [review][投票]
★3ひき逃げファミリー2(1994/日)前半はピントのズレた芝居でいやな予感がするものの、追う側と逃げる側が決まってストーリーが動き出すと展開にリズムが生まれてくる。まあ、それなりのライトコメディー。[投票]
★3ジャグラー ニューヨーク25時(1980/米)当時の荒んだニューヨーク描写と、のっけから快調にぶっ飛ばすカーチェイスは出色だが、中盤以降も続く緩急なき映画の疾走は、何時しかダルな一本調子へと印象を変える。多くの登場人物を配しながら何のドラマを生むことが出来ていないのは残念。[投票]
★3パニック・イン・スタジアム(1976/米)たった一人で10万人の群集を自らの手中におさめてしてしまう狙撃犯とうスケールギャップが斬新で、そのスタジアム描写も緊張感があり成功している。個々人の逸話と生活描写が凡庸なため、本筋とのからみが希薄で日常を襲う非日常の恐怖感が足りないのが残念。[投票]
★3シャイアン(1964/米)突如中盤に挟まれる、ドッジ・シティの逸話の開き直り的コミカルさはいったい何なのだ。ジョン・フォード自らの映画歴への自戒にも、60年代的風潮を揶揄する自虐的自負にも見える。いずれにしろ、物語は160分にも及びながら統一感も焦点も欠いてしまった。[投票]
★3非情都市(1960/日)悪の根源へと本能的に突き進む三宅(三橋達也)の熱気と、彼が奔走する背景としてのクールで硬質な風景のギャップが生み出す緊張感が心地よい。そして、頻繁に写し出される鉄道は、もの言わぬ大衆として日々をやり過ごす生活者たちの象徴に見える。[投票]
★2夢なら醒めて……(2002/日)物語の核となるべき楽曲が陳腐なうえに、ヒロインの存在感が希薄で歌まで下手となってはドラマが成立するはずがない。話しを進めるためだけに準備されたような、空虚なセリフのやり取りが延々続き緊張感もゼロ。低予算、短時間制作のつけがもろに出た駄作。[投票]
★3行く行くマイトガイ 性春の悶々(1975/日)今となっては、この稚拙さは如何ともし難いが、全編に散りばめられた映画青年井筒和生の愛情と思いが伝わってくる。肝心の主題そっちのけで、65分間、間断なく続く性交シーンのオンパレードに今に至る井筒特有の破綻的サービス精神の根っこを見る思い。 [review][投票]
★2夢の後始末(1997/日)映画かぶれの学生ならいざ知らず、大の大人でしかもプロの小林政広サトウトシキがお手てつないで、こんな青臭さく自傷的で半端な形而上話をでっち上げるとは、よくもまあ恥ずかしくないものかと感心することしきり。好演する町田康が気の毒。[投票]
★4LUNATIC(1996/日)若さとイケメンだけが売り物の半男ブラザーズの柔な性を前にして、一向にこちらを振り向かぬ愛しい女に注がれる四十男の一途な愛と無邪気な性欲がなかなかに切ない。「青い空には夢」って、ロマンチスト親爺小林政広脚本の気恥ずかしいセリフはご愛嬌。[投票]
★2遠野物語(1982/日)武夫(隆大介)に無念さが、小夜(原陽子)にひたむきさが足りず、肝心の悲恋話が他のエピソードに埋没し焦点の定まらぬままに時間が過ぎる。豊かな自然の中でひときわ目を引く衣装の鮮やかさと、吉岡康弘の端正な撮影だけが虚しく印象に残る。[投票]
★3肌の隙間(2004/日)掴みどころのない佐藤有紀脚本を前にして瀬々は、不二子斉藤幸一のカメラに全てを託したのだろう。淡々と覗き見るだけの視線は、それなりの効果を上げるも次第に煮詰り行き場をなくした狂気芝居の援護にはならず「逃避→彷徨→何もなし」で終わる。[投票]
★3イブラヒムおじさんとコーランの花たち(2003/仏)題材は好きなのだが、いかに舞台が60年代とは言え、未だに未練たらしくトリュフォーの亡霊を教科書的に引きずるヌーベルバーグ忠誠心がわざとらしく薄気味悪い。パリの異邦人という普遍的テーマは、03年という「今」の作法で描かれてこそ「今」の意味がある。[投票]