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[コメント] スウィングガールズ(2004/日)

思い込んだらまっしぐら、突然襲う難題・珍問もナンセンスにクリア、とういのが『秘密の花園』以来の矢口映画の面白さ。上品にカタチだけが残って、パワーはダウン。キャラに合わないオーバー演技を健気にこなす上野樹里が一番のマジメちゃん。
ぽんしゅう

私は、『ウォーターボーイズ』のレビューでこう書いた。「“ダメだけど良し”と言うのが本音。かなり迷った上での4点。 〈中略〉(この作品には)“今”の観客を捕まえる力があるのは確か。でも、次は通用しないのも確か。」・・・だから約束どおり、今回は3点。

このときに書いた「今の観客を捕まえる力」とは、最後に準備された予定調和へ段取りや理屈ではなくノリだけで話を進めるスタイルとパワーだと私は考えていた。しかし、前作から3年を経て、矢口映画がウケルのには別の理由があるのではないかと感じ始めている。

小学校の運動会の徒競走で、走力順に走るグループを分けたり、個人の順位を競わなくなったのはいつ頃からだろう。この15年か20年位だろうか。相手に勝つことより負けないように努力すること、順位より成しとげることを良しとする価値観。

矢口映画の中の等身大の若者達が置かれる状況は、この徒競走に似ている。『秘密の花園』や『アドレナリンドライブ』には、追って来る相手はいたが倒すべき敵はいなかった。『ウォーターボーイズ』や本作には、敵どころか競い合うライバルすら存在しない。

相手に勝つために努力することよりも、自分のために努力してその結果、周りの人間(観客)の共感を得ることが達成感につながる。これが、時代の気分であり、今の観客を捕まえる力なのでしょう。

自分の非力を感じつつ、マジで相手に勝とうと必死になった経験がある70年代育ちの私には、たとえ寄せ集めのメンバーでも、インターハイを目指した『がんばっていきまっしょい』や全国デビューを目指す『ROCKERS』のようなベタなカタルシスが、そろそろ恋しくなる今日この頃なのであります。

(評価:★3)

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