[コメント] 七人の弔(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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子供を虐待し続ける親たち。彼らもまた自身の親たちから背負わされた自覚せざる性(さが)を、子に植えつけ続けるのだ。それは私たちの預かり知らぬ「家」の中で連綿と「家系」として受け継がれてしまうものなのだろうか。
児童虐待のニュースを耳にするたびに、こう思ったとはないだろうか。「我が子に暴力を振るうとは、そんな人間に親の資格はない。いや、人間としての資格すらない。そう、生きている価値すらない」
自分の子供を売ろうとする7組の親たち。その親たちを逆に売り飛ばしてしまった7人の子供たち。子供たちは「生きている価値すらない」として自分たちの親を殺したのだ。子供たちは、我々の心の底に巣くった暗部を実践してみせたのだ。
この映画の救いのない後味の悪さは子供たちの行動にあるのではなく、「あの親」たちなど生きている価値はないと心のどこかで思いつつ、「あの子供」たちのように潔く親を抹殺することができない我々傍観者の後ろめたさの中にあるのだ。
親を殺し帰る場所をなくした子供たちが、これからの人生を幸福に生きようはずはない。親と子の捻じれた負の連鎖は、誰にも止められないのだろうか。やはり終わりはないのだろうか。
演出面では、キャラクターの確立やストーリーの展開、緩急の点で、まだまだ粗さが目立つダンカン監督ではあったが、彼のもつ真摯な毒気を高く評価したい。今の日本映画界には貴重な存在である。日本のキム・ギドクとならんことすら密かに期待する。
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