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[コメント] バッテリー(2007/日)

昨今流行りの流す涙の量で競う強引な感動ではなく、物語の中を吹き抜ける爽快感の強さが巻き起こす心地よい感動。子役たちの個性的な風貌を活かしながら、過不足なく丁寧に描かれる少年たちの心の動き。そこに「素直さ」という子供の行動原理が存在している。
ぽんしゅう

「素直さ」を描くことが、この年代の子供たちの「共感と友情」を描くことであり、そのためには大人の頭で考えた子供像を徹底的に排除しなければならないことを滝田洋二郎監督は知っている。ただ、あまたの児童映画で失敗が繰り返されてきたように、それは容易なことではない。

各キャラクターに配された、各自の個性をそのまま体現するような風貌の少年たち。その少年たちには必要以上に過剰な芝居や台詞は与えず、物語の展開を進める役目は全て両親家族や教師ら大人たちに負わせてしまう。そうすることで作中の少年たちの関係性が、現実の子供たちが共有するであろう世界と同じレベルの風通しの良さを持って描かれている。

巧妙に仕組まれた大人の世界観の排除こそが、この作品の爽やかさの源であり、その爽快感が初めから最後まで途切れることなく吹き抜けていることが心地よい感動となて伝わってくるのだ。キッズムービーとしても、児童映画としても出色の1本。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)林田乃丞[*] tkcrows[*] セント[*] 地平線のドーリア 水那岐[*] maoP

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