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[コメント] 河童のクゥと夏休み(2007/日)

クゥは漠然とした人間ではなく康一一家という個別の人に、自分たち河童との同質性を感じ恐怖心を克服する。康一は河童が持つ能力と特性を発見しその差異を自覚することで、クゥのあるべき幸福を理解する。「異文化理解」とは総体ではなく個別の問題だということ。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







突如、異界へ迷い込み居場所を見失い戸惑うのは、何も河童だけではない。例えば両親の関係に悩むサヨコのように、あるいは新たな友を得ることでグループからはじかれる康一のように、さらに飼い犬にはけ口を見い出さざる終えなかった少年のように、子供たちもまたいつ居場所を見失うかもしれない危うい関係性のなかを生きている。

河童だろうが人間だろうが、あるいは大人でも子供でも、互いの文化や価値が持つ差異を丁寧に発見し、自覚することでしか理解は生まれない。この物語に、押し付けがましさや説教くささやが無いのは、その部分がさりげなくではあるが、実に丁寧に描かれているからだ。

(評価:★4)

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