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[コメント] ハッピーフライト(2008/日)

女子高生のようなCAたち。威厳なき軽薄副操縦士。5時までOL風グランドスタッフ。まさか、こんな奴いないだろうと、いや実はコレが本音かもしれない、の微妙なさじ加減が心地よい笑いを生む。小気味良いジャブを繰り出しながら、軽やかに舞う軽量級パニック映画。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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この淀みなく一気に突き進む時間の流れこそ、初期の『裸足のピクニック』(93)や『ひみつの花園』(97)、『アドレナリンドライブ』(99)にあって、近年の「ウォーターボーイズ」(04)や「スイングガールズ」(01)に不足していた矢口史靖監督の持ち味だ。しかも、過不足なくテキパキと盛り込まれたフライトまでの各分野のエピソードが、初期の作品に見られた一本調子という欠点を打破し作品の肉付けとなり、ひとまわりスケールの大きなコメディに仕上がっている。

グランドスタッフ(田畑智子)の孤軍奮闘ぶりが、キャビンアテンダントや操縦士といった馴染の薄い花形職種と、私たちのような一般人の職業との橋渡しになっているのがミソだろう。だから、彼女の頑張りに対する近親的な共感が、機内のプロたちの「ちょっとうそ臭い、でも本音はそうかもしれない」可笑しさに素直につながっていくのだろう。上手い構成だと思う。

あと余談ですが、我がままな客を諭す寺島しのぶの表情の作り方と淡々とした口調が、実母の藤純子(富司純子)が東映任侠映画で理不尽な親分をまえにして切る啖呵にあまりに似ていて思わず笑ってしまった。もちろん、まかさか、そこまで計算しているとは思わないがですが・・・。そんな風に見えたのはオレだけでしょうか。でしょうね。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)セント[*] ぐ〜たらだんな[*]

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