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[コメント] ヤッターマン(2008/日)

よい子のための映画として、実に正しい胡散臭さを放っている。日常を離れた闇のなかでかいま見る、ちょっとエッチな大人世界。子供が映画を見る意義のひとつがソコにある。ナンセンスメカの躍動を見事に再現してみせた特殊効果スタッフと三池崇史の甘い毒に4点。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「天才、バカボン」の主役がバカボンではないのとの同じくらい自明のこととして「ヤッターマン」の主役はヤッターマンではない。ドロンジョである。思えばあのテレビ版「ヤッターマン」も正義を賛美するのではなく、悪をいたぶることで子供の受けを狙うというSM的倒錯に根ざした実に胡散臭い構造を持っていた。あのセクシー系悪女の実写版なのだから、映画がエロくなるのは必然であろう。

親が子供に見せたい映画が、子供にとって面白い映画ではないとうことは、自分の子供時代を思い出してみればすぐに分かる。オッパイつかみ。メカ濡れ場。太もも接吻。まる見えフリチン。シャボン落ち。劇場にいたよい子のみんなは、この「ヤッターマン」を見せてくれたお父さんやお母さんに感謝しなければならない。いつもは大人たちが秘密にしていること。自分たちだけでこっそり楽しんでいること。確かに子供には分からないけれど、何だかワクワクしたはずだ。

子供にとって映画を見る楽しみとは、ちょっと背伸びして知らない世界をのぞく楽しみだ。だから子供のために映画を作る正しい大人は、普段は隠している大人だけの楽しみを少しだけにおわせて、よい子たちの期待に応えてあげなければいけないのだ。三池崇史は子供のために映画を撮るといことの意味をよく知っている。息子には友達と誘い合わせて、「ヤッターマン」を見に行くように強く勧めておいた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)ロープブレーク[*] k-jam づん[*] 死ぬまでシネマ[*] 林田乃丞[*] ペペロンチーノ[*]

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