コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ノルウェイの森(2010/日)

傷そのものである直子と対置され、傷つけられる身から不器用かつ懸命に逃れようとあがく緑のあやうい切なさは、まだ演技者の域に達していない水原希子の無粋さの賜物。ワタナベの「何もなさ」の悲壮が突き抜けないのは、空疎をビジュアルとして描くことの限界か。
ぽんしゅう

私は原作を発表当時に読んだきりだった。映画化の話を聞いてその内容を思い出そうとしたのだが、2〜3のエピソードと漠然としたイメージしか頭に浮かばなかった。私にとって「ノルウェイの森」はその程度小説だった。そこで、この夏、23年ぶりに読み返してみた。無謀な映画化企画だと思った。原作の説話構成と登場人物に論理的なタガがないことと、膨大な熱狂的読者を持ってしまっているという点で、小説「ノルウェイの森」の映画化は二重のハンディを負っている。

ほとんど作品の出来に期待せず映画館に足を運んだ。だた、小説「ノルウェイの森」のビジュアル化として本作品を観ることは注意深くさけ、ひたすら映画「ノルウェイの森」そのものに意識を集中して観ることを心がけた。それが村上春樹に対して、そして、いち映画ファンとしてのマナーだと考える。幸いにも私の負の予想ははずれ、映画「ノルウェイの森」は充分に面白かった。

とはいえ、その面白さは(要素の取捨選択を含め)原作の輪郭を巧妙にトレースしてみせたという範囲を出ていない。結局、トラン・アン・ユンも原作の呪縛から飛躍することはできなかったのだ。などと書くと、面白いといいながら3点しか付けず、監督の原作離れがどうのこうのと難癖つけるおまえが、いちばん原作に引きづられているではないかと非難の声が聞こえてきそうだ。やっぱり、厄介な映画化だ。やれやれ。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)ジェリー[*] ピタゴラペンギン[*] りかちゅ[*] 24[*] ペペロンチーノ[*] セント[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。