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[コメント] キック・アス(2010/英=米)

ブーイング覚悟で書けば、これはやっぱりやり過ぎでしょう。何の躊躇もなく繰り広げられるヒットガールの度を越した闘いぶりを手放しで賞賛する気になれなかった。いたいけな女の子に、ここまでさせるのは、いささか精神的バランスを欠いた不健全ささえ感じる。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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何のためらいもなく血しぶき飛ばしながら殺戮を慣行するヒットガール(クロエ・グレース・モレッツ)が、不気味なチャイルド・モンスターに見えてまった。

確かに、さらりとではあるが父(ニコラス・ケイジ)と娘の不遇は語られ、また志し半ばではてる父という悲劇も準備されている。ああそうか、これは女囚さそりシリーズのナミ(梶芽衣子)であり緋牡丹博徒シリーズのお竜(藤純子)なのだと思おうとすれども、ヒットガールにそんな怨歌じみたウェットなど微塵もあるはずもなく。

いやいや、きっと最後に「この容赦なき大量殺戮は、実はなんとフニャララでした」的な、爽やかであっと驚く大どんでん返しエクスキューズが用意されているに違いない、いやそう思いたいと念じていたのだが、それもかなわず。

したり顔で暴力はダメだ、不健全だなどと、杓子定規なことを言うつもりは毛頭ない。だが、モレッツちゃんの眼差しが真剣になればなるほど、正比例するように増していく飛び散る血の量の凄まじさに、何で子供にここまでやらせるのか理解できず、大人たちの娯楽のためとはいえこれはいささか度を越しており、極論を承知でいえば児童ポルノと紙一重の危うさを感じてしまい、気分はドンドン引いていくしまつでありました。

(評価:★3)

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