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[コメント] ヒズ・ガール・フライデー(1940/米)

ケイリー・グラントとロザリンド・ラッセルの連射トークの楽しさもさること、ただそれだけの会話喜劇に終わっていないのは、ハワード・ホークスの緻密な計算に基づく限られた空間へのキャラクターの出し入れや、さりげなく道具を取り込む巧みな演出力の賜物。
ぽんしゅう

主要なセットは、二ヵ所だけだ。冒頭、ウォルター(ケーリー・グラント)を訪ねるヒルディ(ロザリンド・ラッセル)の入場とともに活写される、社員たちでごった返す新聞社のオフィスと編集長室。そして、新聞各社の記者がたむろし、複数の電話機がテーブル上で入り乱れるいかにもうさん臭い拘置所のプレスルームだ。

この限られた空間への人(婚約者、チンピラ、娼婦、他社の記者、保安官、市長、囚人、その恋人ら諸々)の登場と退場のタイミングが二人の会話の句読点となり、小道具類(雨傘、ヒルディの帽子、電話機、偽札、ピストルなどなど)の巧みな取り込みが会話の潤滑油として見事に機能している。まさに会話の笑いを増幅させる「映画的しかけ」が満載だ。

もちろん新聞社とプレスルーム以外の、三人で昼食をとるレストランや、ヒルディ(ロザリンド・ラッセル)が証言者を追いかける路上シーンも素敵で思いっきり笑えるのです。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] ぐるぐる[*]

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