[コメント] アナザー Another(2011/日)
同調圧力と排除の論理についての「今」の映画である。頻繁に使われる「私たちの世界にまぎれ込んだ〈死者〉」という言葉が「使わされた者=〈使者〉」に聞こえてくる。心に巣食う「使者」、それは恐怖や不安から逃れるために常に多数派であれという無意識の暴力。
物語が縦断する1972年から2012年の40年という時間も、長すぎず、短すぎず、扱われる「同調圧力と排除の論理」という課題の同時代性を担保して切実である。
惜しまれるのは、いま少し、丁寧かつ注意深く志を持って細部が作りこまれていれば、たとば心情的怪奇譚の傑作である平山秀幸の『学校の怪談』シリーズや、『告白』(中島哲也)のようなテロリズム映画に化ける可能性があった。
散々悩んだが、3点をつけて埋もれさせてしうには惜しいので、この点数にして心に止めておくことにした。
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