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[コメント] 紙の月(2014/日)

お金がどこからきて、どこへいくのかを知りたいと世間の原理に従順な女(小林聡美)は言う。自分は行くべきところに行くだけだとも。一方、世間の事象を引き受けようとする梨花(宮沢りえ)は、少女時代からお金は誰のものでもないということに薄々気づいていたのだ。
ぽんしゅう

梨花(宮沢りえ)の破壊と疾走。それは逃避ではなく脱走でもない。貨幣制度の無化であり、その幻想価値からの飛翔だ。彼女の心に罪の意識は存在しない。そして、欲望や経済原理が支配する「世間」というフィールドには梨花の着地点は存在しないだろう。彼女は欲望とその昇華システムの根拠を揺るがすテロリストなのだ。

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