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[コメント] 俳優 亀岡拓次(2015/日)

枠に納まりきらない奔放さが持ち味の横浜聡子の窮屈そうな苦笑いが目に浮かぶ。印象的に語られる「用意周到でいながら直情的な行動が抑えられない女宇宙飛行士の矛盾」こそが、原作とオリジナリティの折り合いに腐心した横浜監督の本音の表出なのではないか。
ぽんしゅう

亀岡拓次(安田顕)の日常は浮遊している。現実的な目標があるわけでもなく、まるで芝居という空想の世界を現実として生きているようだ。その掴みどころのなさは、イメージと表現の狭間を浮遊する映画作家である横浜聡子が、おそらく商業映画のなかに目標など持っていないであろう、あるいはいなかった姿と重なって見えた。

ただ真っ直ぐ突き進めばよいのだという諦めに近い思いで、草木一本ない砂漠を一歩一歩進む。これが、現時点での結論なら、横浜聡子の試行錯誤はまだまだ続くのだろう。救いは、そこに強かさはあっても悲壮感がないこと。

今回は安田顕という役者の存在に助けれらえた。横浜聡子の才能は、この程度の「商業映画」ではまだまだ不完全燃焼なのだ。この人には何が何でも映画を撮り続けて、いつの日にか、誰も観に行かないような奇想天外な「商業映画」を創って欲しいと切に思う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ペペロンチーノ[*]

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