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[コメント] 君の名は。(2016/日)

思考を停止させるリズミカルなカッティング、神木隆之介上白石萌音の清々しい声音の掛け合い、さらに実物よりもリアルで美しい背景画、そして呪文のように韻をふむRADWIMPSの楽曲で、話しの辻褄の合わなさはウヤムヤにされ、ひたすら心地よさだけが残る。
ぽんしゅう

お決まりの男と女の出会いとすれ違いが、これまた定番の時空超越ものとして描かれるのだが、こんな古典的ネタを、今を意識した売れ線恋愛劇として再生させるために、あの惨劇の記憶を「しかけ」として消費してしまう功罪を感じた。

センチメンタルのベールを掛けてしまえば、人はわずか5年前に目の当たりにした数万人規模の「死」の記憶をも自己愛に浸る手段にしてしまう。大衆とは、それほど優しく、弱いものであり、また鈍感で残酷でもある。

2011年3月11日の人智の及ばぬ惨劇は、その後の日本映画に多くの影を落とし少なからぬ影響を及ぼした。私が観た、そんな映画のなかで、これほどまでにあっ気なく「悲惨」を浄化し、恋愛の背景に納めてしまった作品を知らない。

さらにここでは、田舎に縛られ都会に憧れた若者たちは、あっさりと解放され、故郷の喪失は未来の肯定へと置き換えられる。

良くも悪くも現実の悲劇を、ベタなファンタジーに仕立て上げ、無菌状態のエンタメにしてしまう川村元気新海誠の図太さ(鈍感さでないことを願う)に少し怖さを感じた。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (11 人)寛田宗純[*] カプリコーン[*] すやすや ALOHA[*] 緑雨[*] づん シーチキン[*] DSCH もがみがわ[*] ゑぎ[*] まー

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