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[コメント] 空飛ぶタイヤ(2018/日)

池井戸潤の定型パターンから家族の絆や中小企業の社員の同志的連帯といった“うんざり”気味の人情要素を削ぎ落とし、久しぶりにソース顔と醤油顔という死語を思い出させる長瀬とフジオカの、思いと立場上“どちらも有り”な対立話に絞り込んだ脚本の潔さが功奏。
ぽんしゅう

歯切れ良く簡潔に話を刻んでべたつかない本木克英演出も心地よい。

そうえいば本木さんは、偉大なる平成のビジネス映画『釣りバカ日誌』シリーズの三代目監督としてデビューした人だった。近作の『超高速!参勤交代』も、観ようよってはビジネス映画(すみません未見ですが)なのでは?この監督さん、喜劇よりクールなシリアスものにシフトしたほうが案外いいのかも。次回も、この路線の作品が観てみたいです。

少し物足りなかったのは、長瀬智也ディーン・フジオカと“それぞれの矜持”を競うはずの銀行マン高橋一生の存在感。ぐっとこらえて「地味に潜行」な役どころで見せ場が作れなかったのか、大人の事情(尺の問題)なのか出番が少なく、さぞやファンの皆さまはがっかりしたことでしょう。

馬力と人情を推力に突進する遅れてきた体育会系若大将、大企業組織のあみだくじ的メイズに生息する内弁慶エリート、人情よりも組織よりも金(かね)の合理を優先する教科書的銀行マン。この「三すくみ」がもっと明確に立ち上がっていれば、ビジネスものエンタメ映画としての深見が増し傑作になっていたかもしれない。

あと深田恭子寺脇康文はキャラに合わない役どころをあてがわれて、いささか浮き気味。特に寺脇の芝居の「似合わない感」は甚だしくビートたけしの“鬼瓦権造”みたいで笑えた。

(評価:★3)

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