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[コメント] メアリーの総て(2017/英=ルクセンブルク=米)

メアリー(エル・ファニング)は“抑圧”に対して戸惑いはみせても、決して悲嘆や諦観に押しつぶされたりしない。彼女は後天的な“理屈”の抵抗者ではなく、生来の“生理”に素直な正直者なのだ。矛盾を沸々と発酵させる醸造力もまた創造者の資質なのだろう。
ぽんしゅう

そして「矛盾の飽和点」に達した彼女が、自らの“死に体”から正直者の化身として甦らせたモンスターが「フランケンシュタイン」だったのだ。このモンスターは「矛盾の飽和点」そのものだからこそ、どんな人間よりも強く、悲しく、万人をたじろがせる力を持っているのだ。

前作『少女は自転車にのって』で、怖いもの知らずのムスリム少女が、あっさりと「違う明日」を具現化するさまを描いたハイファ・アル・マンスール監督もまた"理屈”ではなく“生理”の人だということがよく分かる佳作。

(評価:★3)

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