コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 金子文子と朴烈(2017/韓国)

日本否定につながるような言説がありながら「反日」やら「嫌韓」といった粗雑な感情が起きないのは、国家ではなく、まず個人ありきの姿勢が貫かれているからだろう。国民感情などという思考狭窄をさらりとかわし万国共通の抵抗者の矜持を示す、しなやかな映画。
ぽんしゅう

強固な意志と、愛らしさを合わせ持った金子文子のキャラクターが魅力的だ。文子の“愛”は、惚れた男パクヨル(朴烈)と対等の関係を堅持することで成就し、空疎な権威で防御された矛盾や欺瞞を激しく糾弾するときには牙となる。この好悪(とは“愛”のことだ)の明確さこそが、文子が「国家」ではなく「個人」を生きる普遍的な“抵抗者”である証しなのだ。

個人の思い(それは被虐者ゆえの悲しみ)に根ざした好悪は、国や民族や立場の違いを超えて共感を生む。そんな文子の本能的な好悪をチェ・ヒソが、とてもチャーミングに演じている。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。