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[コメント] 宮本から君へ(2019/日)

アパート、オフィス、喫茶店、住宅街 etc。こんなに所かまわず大声でがなりたてる男と女(の映画)をみたことがない。二人の距離から程よい“あいだ”というものが消滅している。“あいだ”とは世間だ。真利子哲也は二人を「世間」から切り離しどんどん純化する。
ぽんしゅう

出目金のごとくはち切れんばかりの目玉をむき出し、抜けた前歯の隙間から空気と飯粒まき散らす池松壮亮に、拳を握りしめ蒼井優は全身の力を顔面に集中させ、もとより美しいわけでもない両目の“カタチ”を奇妙に歪めながら鬼の変顔で応酬する。嗚呼、壮絶なり。

さらにエスカレートする真利子の「世間」無視の欲求は、いざクライマックスの「非常階段の決斗」へ。「世間」のリアルと非リアルの狭間で、ついにサブリミナルのごとく幻視となった「玉袋」が我々の視界をよぎるとき、真利子哲也の映画としての「一生懸命」が成就する。

それにしても、たかがクスリで・・・ピエール瀧の一刻も早い映画復帰を心より願う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)DSCH[*] ゑぎ[*] セント[*] けにろん[*] ぱーこ[*]

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