[コメント] 帰れない二人(2018/中国=仏)
威勢に乗じた男っぷり、若い女への心変わりの後ろめたさ、肢体不自由の無力さが醸す母性刺激。この男(リャオ・ファン)、たとえ境遇は変転しても、常に“色香”を漂わせ続ける。女(チャオ・タオ)が追い続けたのは“この男”ではなく“この色香”なのだろう。
男と女の置かれた状況は劇的に変化したが、二人の心の距離は結局、始めから最後まで変わっていないようにみえる。もうなくなってしまったのに、確かにその存在を知覚し、離れはしないが、近づくこともない断ち切ることの出来ない感情。まさに、それは変わりゆく母国への想い。すなわち“郷愁”なのだろう。
深刻な物語にときおり混じる、ひょうひょうとした北野武風のユーモア演出が隠し味のように効いた。
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